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コロナ禍に始めたダンスで、身体の捉え方が変わった
Celeina:コロナ禍ではダンスを習っていたそうですね。これはどういった経緯があるんでしょうか?
折田:映画を見ることが好きだったので、そこから演劇もたくさん観るようになり、舞台上における俳優の身体みたいなものに興味が湧き始めたんです。それで、コンテンポラリーダンス作品を観るようになったのですが、そのうち、自分でもちょっとやってみたいなと思ってダンスを習い始めました。ちょうどコロナ禍で気が滅入る時期だったんですが、個人的にダンス道場を開きますという方に出会って、その方の一番弟子のような感じで教えていただくようになりました。
タカノ:実際に踊ってみて、文筆業に影響が出たりしましたか?
折田:例えば、文章を書く人には文章を書く人の身体があり、ラジオパーソナリティの方にはラジオパーソナリティの身体があり、それぞれに癖みたいなものがあると思うのですが、その身体がどうしても硬くなっちゃう時に、ダンスすることによって解きほぐすことができるんです。そうすると日常生活が楽になりますし、自分には「物書きとしての身体」があるんだ、ということが1つの自信にも変わって、身体の捉え方がどんどん変わっていきました。
タカノ:我々はラジオの生放送をやっているけど、生放送をやっている身体って意識しないから。そういう意味では、ダンスを習って身体について知るのは、自分にとっての再認識となり、いいことかもしれませんね。
Celeina:ダンスを習うということは、ある意味、演者という立場に立つわけじゃないですか。演者側に立つことによって、普段のご自身の意識の変化はありましたか?
折田:例えばイベントなどで、自分がMCをやる時と、ゲストとしてお呼ばれする時とで自分自身の立ち位置が変わると思うのですが、そういうところで自分自身の立ち位置を意識をすることができるようになりましたね。
タカノ:そして、今日の『GRAND MARQUEE』では、本の書き出しについて注目しています。是非、折田さんの好きな書き出しを教えてください。
折田:迷ったのですが、村上春樹さんの『スプートニクの恋人』の、「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。」という一文です。この後に続く文章が大好きです。ヒロインのすみれが恋に落ちたということが、主人公の主観で語られていく物語で、とても好きな作品なんです。
タカノ:村上春樹作品がお好きなんですか?
折田:隠れハルキストかもしれないです(笑)。
タカノ:今日はリスナーの方からも『風の歌を聴け』の書き出しについてのメッセージが来ていましたね。
折田:村上春樹さんの書き出しは独特なので、被るんじゃないかなと思っていました。
タカノ:良い書き出しの紹介を、ありがとうございました。