グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
2月4日は、「Do it Theater」の伊藤大地さんの紹介で、「MOTION GALLERY」代表の大高健志さんが登場。大学院生時代にクラウドファンディングのプラットフォーム「MOTION GALLERY」を立ち上げた経緯やプロジェクトの種類のほか、下北沢に開館したミニシアター「K2」についても伺いました。
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藝大の大学院に通いながら「MOTION GALLERY」を立ち上げた
タカノ(MC):「MOTION GALLERY」というサービスをメインに活動されているということですが、どんなサービスなのか教えていただけますか?
大高:「MOTION GALLERY」は2011年に日本で最初にできたクラウドファンディングのプラットフォームです。クラファンという言葉も、今ではかなり耳馴染みがあると思いますが、インターネット上で何か活動するための資金を皆さんから募る仕組みを運営しています。僕の背景もあって、クリエイティブな活動にフォーカスしている、日本最大級のプラットフォームとなっています。
タカノ:2011年に始められたんですね。
大高:そうですね。クラファンが出たばかりの頃です。
タカノ:最古参ぐらいの存在なんですね。
大高:話題になった映画『カメラを止めるな!』の制作資金も「MOTION GALLERY」で集めました。実は世界的な作品や大ヒットしているものの中にも、クラウドファンディングが関わっているケースは結構あり、映画公開後にその資金調達の背景が知られることも多いんです。
Celeina(MC):「MOTION GALLERY」を立ち上げた当時は大学院生だったんですか?
大高:そうです。東京藝術大学の大学院で映画を学んでいました。元々は外資系のコンサルティングファームで働いていたのですが、そこを辞めて大学院に入り直しました。
Celeina:勇気のいるステップだと思いますが、キャリアチェンジをするにあたって、どのような経緯があったんですか?
大高:ニューヨークの美大に行きたくて、その学費を2、3年で貯めるつもりで就職しました。当時は映画や現代アートの仕事をしたいと考えていたので、一旦会社員として働いていたという感じです。
Celeina:ロードマップは出来上がっていたんですね。
タカノ:それで、大学院に通いながら「MOTION GALLERY」をスタートさせたと。
大高:それはまったく想定していなかったんです。本当は作家やクリエイターをサポートするキュレーターになりたかったので、ビジネスをやるつもりは全くなくて。でも大学院で学んでいく中で、世界的に有名な日本人監督でも、資金が集まらず映画が撮れないという現実を知りました。海外では評価されていても、日本では儲からなさそうという理由で資金が集まらなくて、資金を得るためには作家性を薄めなければならないケースも多いんです。こうした課題を目の当たりにして、「何かを作ること」から「エコシステム自体を変えること」に興味を持ち始めました。そこから実験的に、卒論的なノリで「MOTION GALLERY」を立ち上げたんです。
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クリエイティブな推し活。ファンがクリエイターを支援する新たな形のクラファンも
Celeina:それが今や10年以上続いているんですね。
タカノ:実際にはどんなプロジェクトが多いですか?
大高:映画、現代アート、出版などが多いですね。最近では、リノベーションや街づくりのプロジェクトも増えてきています。1,000万円を超えるようなプロジェクトも増えてきました。
タカノ:用途も多岐にわたるんですね。
大高:最近では、歴史的建造物の保存活動にもクラファンが活用されているんです。三鷹にある「天命反転住宅」や銀座の「中銀カプセルタワー」など、有名建築家の方の建築をレガシーとして残していくための保存資金を集めるプロジェクトもありました。また、「小泊Fuji」という1日1組限定の宿があるんですが、オーナーが、建築家の藤森照信さんに惚れ込んで、「彼に宿を作ってもらいたい!」という強い気持ちを持って、クラファンで資金を集めてオープンさせたんです。推し活みたいなものですね。
タカノ:面白い! クリエイター本人が発信するのではなく、ファンが支援するという新しい形のクラファンが増えているんですね。
大高:そうですね。クリエイティブな推し活が増えていますね。インド映画ファンのインド料理店の店主が、好きなインド映画の配給活動を始めるために資金を集めるプロジェクトもありました。
タカノ:もしかしたら『GRAND MARQUEE』のファンの方が、グッズを作るためにクラファンをしてくれたり……(笑)。
Celeina:夢のような話ですね(笑)。従来のSNSは、出役の演者さんを推すのに適していますが、「MOTION GALLERY」は監督や建築家などのクリエイターのファンダムを作って構築していくためのプラットフォームになっている感じがしますね。
大高:そうですね。実際にお金を集めて行動して、その結果を社会に発信できるので、小さなことからでも変えていける実効性のある仕組みだと思って取り組んでいます。