グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
12月4日は、シンガーのAnn Gさんからの紹介で、フォトグラファーの南しずかさんが登場。カメラマンを志したきっかけや、写真集『MINAMI Carnival』に収録されている躍動感ある写真の撮影方法などについて伺いました。
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ドキュメンタリーに魅了され、ニューヨークの写真学校へ
Celeina(MC):今日登場してくれるのは、フォトグラファーの南しずかさんです。南さんといえば、メジャーリーグでイチロー選手と大谷翔平選手が談笑する写真や、女子ゴルフの渋野日向子選手が全英女子オープンを制覇した瞬間の写真など、一流アスリートの写真を撮り続け、アメリカの写真誌で大賞も受賞されています。
タカノ(MC):めちゃくちゃすごい方です!
南:いや、すごいのは選手の方たちで、私はパパラッチしているだけです。
Celeina:でも、その瞬間を写真に収めるというのは職人技ですから。
タカノ:『GRAND MARQUEE』的に気になることなんですが、南さんはライフワークとして、世界の変わったお祭りを10年以上撮り続けているそうですね。今日はそこを中心にお話を聞かせていただきたいなと思っております。南さんは、大学時代に写真に目覚めて、ドキュメンタリーに強いという理由で、ニューヨークの学校に入学したそうですね。
南:今考えたら、チャラい理由ですよね(笑)。正座して反省した方がいいと思います。
Celeina:急な決断だったんですね。
南:そうですね。そういうライフワークだったら、やれるかもしれないと思いました。
タカノ:何か出会いがあったんですか?
南:大学3年の時、東京大学の名誉教授の方の下でお手伝いをさせていただく機会がありました。その教授をテレビ番組が1年間追いかけて、ドキュメンタリー番組を制作していたんです。そこで、ドキュメンタリーっていいなと思いまして、映画やテレビの現場も見させていただいたんですが、自分にはカメラが合っているかもと感じたんですよ。それで、町田のヨドバシカメラに行って、「すいません。私、カメラマンになりたいんですけど、どのカメラがいいですか?」と聞きました。
Celeina:直球ですね(笑)。
南:ひどい質問ですよね。それでカメラマンの道を決めました。
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写真学校の課題での出会いがきっかけで、カーニバルの虜に
Celeina:そして、ニューヨークの大学に入学されたんですね。カーニバルとの出会いは、いつ頃だったんですか?
南:ニューヨークの写真学校で、道端で会った人の写真を撮るという課題がありまして。それで全然知らない人に声をかけたら、トリニダード・トバゴの人だったんですね。カリブの国出身のおじさまで、その方との出会いが、カーニバルに繋がりました。
タカノ:その方とはどんなお話をされたんですか?
南:最初は世間話をしていましたが、その方の職場に、たまたまトリニダード・トバゴのカーニバルの記事があったんですよ。私もそのカーニバルの存在を知っていたので、「ここ行ってみたいんですよね」と言ったら、「来年は100周年だから、 絶対に行ったほうがいい」と言われて、そう言われたら私も行きたくなるじゃないですか。
Celeina:フッ軽ですね。
南:チャラチャラですから。
タカノ:それで、トリニダード・トバゴのカーニバルに参加されたんですか?
南:はい。カメラを持って行きました。
Celeina:そこから、お祭りの虜に?
南:そうですね。日本もすごくいい国ですが、規格外の音量の中、皆が踊っている光景を日本では見たことがなかったので、トリニダード・トバゴのカーニバルにはすごく衝撃を受けました。100周年らしいことは何1つ分からなかったんですけど、カーニバル最高だと思いましたね。
タカノ:そこから、世界中のいろいろな国に行かれたんですよね。どんな国へ行かれましたか?
南:カーニバルはカトリック圏の文化なので、どこの国も同じ日にやるから、被っちゃうんですよ。トリニダード・トバゴ以外のカーニバルを見たいと思っても、他のところも同じ日に開催しているので、翌年にはリオのカーニバルへ行きました。他にも、スペインのトマト祭りにも行きましたね。
Celeina:トマトを投げる刺激的なお祭りですよね。他にはございますか?
南:アメリカの野外トイレカーレースとか。説明するのが難しいんですが、仮設のトイレカーを作って、そこに1人が乗って、2人が後ろで押すというレースです。
Celeina:すごい。世界の珍しいカーニバル!
南:なぜそうなったのかはわからないんですが、町おこしの一環で、すごく盛り上がっていますね。
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今にも動き出しそうな躍動感のある写真は、緻密な下調べから生まれる
Celeina:そんな南さんですが、10年以上に渡って国内外のお祭りやカーニバルを撮影した写真をまとめた写真集『MINAMI Carnival』が、発売になったそうですね。その写真集をお持ちいただいていますけれども、表紙からファイアー! しておりますね。

南:トリニダード・トバゴのカーニバルで、演者さんがストリートに寝っ転がって火を吹いている瞬間の写真です。
タカノ:すごいですよ。見ているだけでワクワクしちゃう。カラフルでいろんなカーニバルの写真がありますが、何よりも臨場感や躍動感が伝わります。人々が動いている瞬間や水しぶきが飛び散っている瞬間を、写真に収められています。
Celeina:写真集なのに動画を見ているような、今にも動き出しそうな躍動感を感じますよね。
南:こんなに褒めてもらえて、今日ここへ来てよかったです。
Celeina:この写真集には合計35のイベントが集約されているとのことですが、この躍動感はどうやってカメラで収めているんですか? こういった写真を撮る秘訣を教えてください。
南:フィーリングのままにカーニバルへ行くというよりも、まずはこのお祭りはいつやるんだろうと事前に調べます。大きなお祭りが近づくと、宿泊費や航空券の値段も上がっていくので、半年前には予約したりしますね。過去のカーニバルの写真を見て、多分ここでこういう風に撮影するんだろうなと、いろいろ調べます。現地では下調べの時間もないので、前日にロケハンというか、何時ぐらいにここでこういうことが起きるから撮れるな、と事前にしっかりと下調べをしています。
Celeina:仕込みが大事と。
南:あとは、お祭りのルートが変わっていることもあるので、地元の方に「去年ここでこういうこと起こっていたけど、今年もそうかな?」と聞いてみたりもします。だから、始まる前の準備が8割、撮るのが1割ぐらいで、あとは運まかせが1割です。
タカノ:フリースタイルっぽい雰囲気に見えて、緻密に計算して準備をして、カメラでその瞬間を収めているんですね。