INDEX
元の絵を活かしたデザインに仕上げるのがコバヤシ流
Celeina:最初に本文から作るんですね。装丁から入るのかなと思っていました。
コバヤシ:まずは、行数や書体を決めてフォーマットを作るんです。あとは、ノンブルと呼ばれるページ数の部分を可愛くしたり、逆に控えめにしたりちょっとしたアレンジを加えたりします。それができたら、数ヶ月後に「じゃあ、そろそろ装丁をお願いします」と言われて、外回りのデザインを、編集者や著者の方の要望を聞いて考え始めます。
例えば、オルタナ旧市街さんの『踊る幽霊』という本の場合は、事前に「このイラストレーターさんの絵を使いたい」とオルタナ旧市街さんと編集者の間で話し合われていたので、「こういう感じの絵を描いてもらいましょう」という提案をしました。デザイナーや本の内容によっては、「こういう装丁にしたいから、こういう絵を描いて」とリクエストをするタイプの方もいるんです。でも僕は、編集者と著者が「この人がいい」と選んだ時点で、イメージが共有されていると思っているんです。なので、ある程度の方向性と、「文字の置き方などデザインのことは考えないで描いてください。文字が入れづらい絵になってもいいので」と伝えて、画家さんやイラストレーターさんにお任せしたいと考えています。その方が面白いものが出来上がると思うので。そして、上がってきた絵を見て、どこに文字を配置しようかなと考えます。
タカノ:イラストレーターさんなどの絵を使用される時は、元の絵の良さを最大限に活かして制作されているんですね。
コバヤシ:僕はそうしたいと思っています。だから、イラストをなるべく文字で隠したり、邪魔したくないと考えています。
タカノ:オルタナ旧市街さんの表紙のイラストは、夜の遊園地のような場所に三角コーンをかぶった妖精のようなオバケのようなものが描かれていますね。そこに、『踊る幽霊』というタイトルや著者名が面白く入り組んだ感じに配置されています。そこはデザインの力ですよね。
コバヤシ:はい。やっぱり、少し変わった感じにしたいとか、自分らしさもちょっとだけ入れたいので、どこに入れたらいいかなと考えました。『踊る幽霊』なので、こういうアレンジはありだと思い、このデザインになりました。
タカノ:紙ならではの良さを、再確認しました。