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「コンセプト」の鎧を脱ぎ、自身の現在地を示した
6年半にわたる活動が充実した作品として結実した『Gen』だが、なにより印象的なのは、「コンセプト」からの距離感だ。たとえば前作の『POP VIRUS』がそうだったように、魅力的でキャッチーで、コンセプトとしての強度がある言葉にアルバムのテーマを集約させることもできただろう。しかし、あらためて確認すると、今作で本人が選んだのはセルフタイトル。それは言ってしまえば、アルバムを上手にひとことでプレゼンテーションするかわりに、「これがわたしです」と自己開示するようなものだ。結果的には表現者としての問題意識や関心へストレートに向き合ったのであろう本作にぴったりのタイトルになのは確かなのだけれど、その意味はアルバムを聴き通した人にだけ伝わるだろう。
『Gen』は「コンセプト」の鎧を脱いで提示された現時点での集大成であると同時に、新しい制作スタイルを含めた「次」の可能性もひしひしと感じられる作品でもある。本作も、もう数年もすれば、星野源のあらたな原点として振り返られることになるかもしれない。
星野源『Gen』

2025年5月14日(水)発売
価格:3,410円(税込)
VICL-66033
1. 創造
2. Mad Hope (feat. Louis Cole, Sam Gendel, Sam Wilkes)
3. Star
4. Glitch
5. 喜劇
6. 2 (feat. Lee Youngji)
7. Melody
8. 不思議
9. Memories (feat. UMI, Camilo)
10. 暗闇
11. Why
12. 生命体
13. Eden (feat. Cordae, DJ Jazzy Jeff)
14. Sayonara
15. 異世界混合大舞踏会
16. Eureka