都市伝説からUFO、恋愛、バトルまで。なんでもアリなのに、なぜか成立してしまう。漫画アプリ「ジャンプ+」で連載中の龍幸伸『ダンダダン』は、2021年の連載開始からまもなく200話に到達する今も、その人気は衰える気配がない。2024年には『映像研には手を出すな!』『犬王』で知られるサイエンスSARUによって待望のアニメ化が実現し、大きな話題を呼んだ。そして2025年夏、アニメ第2期がスタートする。『ダンダダン』が全世界を魅了する理由とは一体何なのか? よしもと漫画研究部の部長で、年間1500冊以上の漫画を読む漫画大好き芸人・吉川きっちょむが原作漫画からアニメシリーズを横断して解説する。
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漫画『ダンダダン』第1話で刻まれた衝撃
昨年放送され大きな話題を呼んだTVアニメ『ダンダダン』。待望の第2期が7月3日(木)深夜より放送開始される。オカルティックなバトルアクションと甘酸っぱい青春物語がハイクオリティな作画で融合した本作は、原作漫画が1000万部(2025年4月時点)を突破する超人気作だ。

物語は、霊媒師の家に生まれたため幽霊は信じるが宇宙人は信じない女子高生・綾瀬桃(モモ)、そしてオカルトマニアで宇宙人は信じるが幽霊は信じない同級生の男子・高倉健(オカルン)が、互いの信じる存在を証明するために、心霊スポットとUFOの出る廃病院を訪れることから始まる。その後、2人は行く先々で、理解を超越した宇宙人や都市伝説、妖怪、UMAと遭遇し、怪奇現象に巻き込まれていく。
原作は、『地獄楽』『チェンソーマン』のメインアシスタントを務め、少年漫画界トップレベルの画力を誇る龍幸伸の7年ぶりの連載で、『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』などを手がける現在日本一有名なヒットメーカー編集・林士平の担当作品として、2021年、漫画アプリ「ジャンプ+」で鳴り物入りの連載がスタート。
私は『ダンダダン』が公開される0時を心待ちにし、初めて読んだときのことを今も強烈に覚えている。あまりにも衝撃的な漫画体験で、快楽物質が脳を駆け巡り、高揚感に包まれながら、頼むから読んでくれと知人友人に懇願し、他社の漫画編集者と『ダンダダン』が第1話だけでいかにすごいのか深夜に電話で語り合った。

圧倒的かつ精緻な画力による迫力と躍動感、大胆なカメラワークやレンズの歪み、ユニークなキャラクターデザイン、怒涛のストーリー展開、オカルト、バトルアクション、学園ラブコメとジャンルをまたぎながらも、すべてを高い漫画力でまとめあげてしまう剛腕。奇跡的なバランスで、ごちゃ混ぜな楽しさが成り立っている稀有な作品だ。
SNS上でも評判は瞬く間に広がり、公開からわずか2日で100万PV、さらに初の3話連続100万PV突破という「ジャンプ+」史上初の快挙を達成した。