メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

シンディ・ローパー最後の来日。フェアウェルの前に知っておきたいこと

2025.4.22

#MUSIC

"Cyndi Lauper performing at WITNESS Gala 2009" by WITNESS.org is licensed under CC BY-NC-ND 2.0.
"Cyndi Lauper in BH" by lucascynnogue is licensed under CC BY-SA 2.0.

4月19日 (土)の大阪公演を皮切りに現在開催中の『Girls Just Wanna Have Fun Farewell Tour』は、シンディ・ローパーの6年ぶり通算15度目のジャパンツアーにして、最後の日本公演。当初、4月22日 (火)の日本武道館のみのアナウンスだった東京公演は一瞬にして完売となり、追加公演として翌23日(水)が、再追加公演として25日(金)の公演が同じ日本武道館で開催されることとなった。
 
1980年代にソロデビューを果たし、70歳を超えてもなお、幅広い世代からの支持を受け続けるポップアイコン、シンディ・ローパー。親日家としても知られ、およそ半世紀にわたってポップシーンの最前線で活躍する彼女のこれまでと日本との関係を振り返る。

前途多難な下積み時代、「アンユージュアル」なスタート

アメリカはニューヨーク州のブルックリンに生まれたシンディ。学校に馴染めず、授業を受ける代わりに絵を描いたり、歌を歌ったりして過ごしていたという。17歳のときには、自分の置かれた環境に嫌気がさし、高校を退学してしまう。退学後は、ありとあらゆる仕事を転々とし、バンドのバックグラウンドシンガーとしても活動していた。その後、別のバンドにリードシンガーとして加入するものの、喉を痛めてしまい、アーティスト活動を1年間休止するなどの災難に見舞われる。

自身の音楽活動をスタートさせたのは、バンド・Blue Angelを結成した1978年のことだ。イギリスのレーベル「ポリドール・レコード」からリリースしたデビューアルバム『Blue Angel』は、評論家から支持を受けたにもかかわらず、ロカビリーサウンドがシーンに受け入れられず、商業的成功には及ばなかった。バンドはすぐに解散し、シンディは自己破産を申請することとなった。

決して順風万端ではなかった世界的アイコンの駆け出し時代。転機となったのは、「ポートレートレコード」と契約を結んだこと。レーベルスタッフの全面的な協力を受けて、1983年に代表曲”Girls Just Want to Have Fun”や”Time After Time”を収録した1stアルバム『She’s So Unusual』を発表する。女性ソロアーティストとしては史上初となるデビューアルバムからのシングル4曲がトップ5入りを果たすという快挙を成し遂げ、見事なまでの商業的成功を収める。

海外の主要音楽メディアはこのアルバムについて、以下のような評価を残している。

前身バンドのような、単なるオールディーズの寄せ集めではなく、力強いシンセサイザー主体のバンドに支えられ、ローパーは優れた才能を発揮している

Album Review: She’s So Unusual. Rolling Stone(筆者訳)

フェミニズムを巧みに表現したニューウェーブポップのアルバムで、MTV時代の幕開けのきっかけになった

Album Review:  She’s So Unusual. Pitchfork(筆者訳)

デビューアルバム『She’s So Unusual』は、シンディ・ローパーという1人のアーティストとして前身バンドからのシフトチェンジに成功したと同時に、音楽シーンの中でも、MTV世代ブームの先駆けとなる画期的な作品でもあったと言えるだろう。

元々、”Girls Just Want to Have Fun”は、男性アーティストが作詞作曲した男性目線の楽曲だった。当時「あらゆる女性に向けたアンセムを」と考えていた彼女が、楽曲を女性の視点で捉え直し、社会的な束縛から解放されて自由に楽しむことを歌ったポップソングへと昇華させたのだ。そして同曲は、いまやフェミニストアイコンとしての彼女を象徴するアンセムとして、広く認識されるようになった。

”Money Changes Everything”では物質主義をテーマに、お金によって目論見や打算が見え隠れする人間関係を、”She bop”では当時としてはセンセーショナルなセルフプレジャーや個人の自由を歌ったシンディ。アンユージュアルな(普通ではない)表現方法で、彼女の存在は一躍知られることとなった。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS