2025年のグラミー賞や『コーチェラ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival)』でのバク宙パフォーマンスが話題となったベンソン・ブーン(Benson Boone)。易々とバク宙を連発する肉体美もさることながら、フレディ・マーキュリーを彷彿とさせる立ち振る舞い、衣装、そして歌声で、新世代ポップスターのトップに躍り出ている。いま勢いに乗るベンソン・ブーンがリリースした2ndアルバム『American Heart』をライターの村上ひさしがレビューする。
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ブルース・スプリングスティーンにインスパイアされた2ndアルバム
ヒョイとバク宙だってやれば、激しいシャウトやバラードだってお手のもの。キラキラのジャンプスーツで世界を沸かせるベンソン・ブーンが、早くも2ndアルバム『American Heart』を届けてくれた。
元々TikTokで人気を博し、『アメリカン・アイドル』のオーディションでケイティ・ペリーから将来大スターになると太鼓判を押され、Imagine Dragonsのダン・レイノルズからお声が掛かり、彼のレーベル『Night Street Records』と契約。昨年はテイラー・スウィフトからのお誘いで彼女の『ザ・エラズ・ツアー』に参加。4月に発表されたデビューアルバム『Fireworks & Rollerblades』とシングル“Beautiful Things”が大ヒット。まだまだその勢いが収まらない中、4月に出演した『コーチェラ・フェステバル』のステージから突如、ニューアルバムのリリースを公表した。いち早く新作からのナンバーを披露し、さらにクイーンのギタリストのブライアン・メイをゲストに招き、難易度の高いクイーンの“Bohemian Rhapsody”を見事に歌って圧倒した。
その『コーチェラ・フェスティバル』で”Young American Heart”を歌った際には、巨大なアメリカ国旗が背景に映し出されていたが、このニューアルバムのジャケットでもベンソンは星条旗を背にして両手を広げている。そこで思い出すのは、アメリカの国民的ロックシンガー、ブルース・スプリングスティーンの1984年のアルバム『Born In The U.S.A.』のジャケットだが、実際このアルバムはブルース・スプリングスティーンと、アメリカーナミュージックにインスパイアされたという(※)。ちょっぴりレトロでノスタルジックなサウンドからは、その影響が明らかであるし、曲調は前作よりかなりバラエティに富んでいる。
※ Brian Hiatt. Benson Boone on Life After ‘Beautiful Things’. Rolling Stone
https://www.rollingstone.com/music/music-features/benson-boone-beautiful-things-new-album-american-heart-1235288819/