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Awesome City Club、今が一番自由。10作連続リリース、映画『トリツカレ男』を語る

2025.9.11

Awesome City Club

#PR #MUSIC

曲の最後には希望を残したい

―最初にリリースされた“STEP !”から、さすがだなとも思わせられたんですよね。いわゆる「シティポップ」と呼ばれたりする音楽が、今も若い世代からたくさん出てきているけど、やはりACCは群を抜いたオーセンティックなものを届けてくれるなと思いました。

atagi:嬉しいですね。たしかに、どっしり感は違うなって思います。自分たちのデビュー当時を振り返っても、含蓄が出てきているというか。まがりなりにも10年やってきた間柄から生まれる説得力みたいなものが、デビュー当時に比べると少しは増えたのかもしれないなと思いますね。

モリシー(Gt):あるんでしょうな。いろんな曲を書いて、いろんなステージに立ってきて、それが音にも出るだろうし、ましてや声なんてそういうものでしかないと思うから。

モリシー

―10作連続リリースの一発目に出した“STEP !”は踊れるグルーヴの中で男女の感情を描いた上質なポップスで、いわゆるACCの真骨頂的な方向性のひとつだと思うんですけど、アニバーサリーイヤーの最初にはどういう曲を持っていきたいと考えていたんですか?

atagi:すごく平たく言えば、景気のいい曲をやりたいと思っていました。10作連続リリースを総括するテーマは「祝祭感」だと思っていたんですよ。もちろん10作の中でいろんな振り幅を見せていきたいけど、最初に“STEP !”みたいな楽曲を出して、自分たちをお祝いしたいと思っていました。あと、色々やってきた上で、人間的な関わり合いの距離感とか、温度感とか、力が抜けた感じみたいなことも含めて、自分たちの今のスタンスを同時に表現できる曲かなって思ったので1発目に出したいなと。僕は経験してないですけど、夫婦とかでも10年経つと、こうなってくるんじゃないですか?

モリシー:なりますね。

atagi:いろんな方法での信頼とか、対人への見方が生まれてきて、本人たちにしかわからないバランスで成り立っている、みたいな。閉じられたコミュニティの話ではあって、他の人が見てもわからないけど、それも「ひとつの愛の形」みたいな。それを是としてあげる、というのが伝えたいメッセージでしたね。

―そういった関係性が、まさに今の3人のモードである?

atagi:だと思います。

PORIN:ね!

モリシー:うん!

―そして5月に発表した“深海”は打ち込みのサウンドプロダクションで、逆に今までやってなかったような一面を見せていますよね。

atagi:そうですね。ACCでまだやれてない表現をやりたいなっていう。好きなコード進行や言葉選びを使った、自分のフェチを純度100%で出した曲ですね。すごく好きです。文脈として正しいかどうかわからないですけど、もしかしたらRADIOHEADとかに焦がれた人はちょっとピンとくる感じがあるかもしれないです。

―それを今までACCで出してこなかったのは、atagiさんの中でどういう考えがあったからなんですか?

atagi:なんとなく、そういうテイストの楽曲は僕の思っているACC像からは外れていたのかもしれないですし……なんででしょうね? なんとなく求められてないなって感じがしていたのかもしれないです。でも今だったらできるかもという感覚がありました。

PORIN:でも私はこの曲を聴いたとき、「アタさんらしいな」って思いました。滲み出るatagi汁を感じました。

モリシー:MTRで曲を作っていた頃のatagiを思い出したね。メロディとかも、スタジオファミリア(かつてメンバーがバイトしていたスタジオ。そこでACCは結成された)でデモを聴いていた曲に一番近いなって感じたかな。

PORIN:そうそう、当時を思い出しました。だから不思議な感覚だった。「懐かしい」って、キュンとしましたね。

―「これはACCっぽくないんじゃないか」ってatagiさんが自分で思い込んでいた部分を、今回自分で解放させてあげられた、という言い方もできるんですかね。音楽に限らず、自分が思っている自分らしさって、周りから見えるものと違っていたりしますし。

atagi:ああ、たしかに。自分らしさってどこにあるのかわからなかったりしますよね。自分に打っていた鎖を外した、みたいな感じかもしれないです。

―“深海”の歌詞について触れると、海の深い底へと沈んでいくようなディープな世界観でありつつも、<さよならいつか運命の輪を辿って/会いに行くよ>など、暗いところで終わらないところがACCらしいなと思いました。

atagi:これは死生観の話で、ざっくり言えば、自分が死んでも思い続けるよというお話なんですけど。曲を聴き終わるときに希望を持たせたいとは常に思っていて、そういったテーマの中でも、何か願いや希望を抱いた状態で終われたらなとは思っていたので、そう言っていただけたのはよかったです。はっきりと死生観を書いたのは、これが初めてかもしれないですね。そういうことを歌詞にできるような精神年齢になったのかなっていう感じがします。

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