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「メッセージを込めたい」という念を手放す。ギターと歌に沿うだけの“抜け感”
─そういったフィーリングは“轉角”で共演したエイミーとはどの程度共有したんですか?
玉置:表題曲にすることは決めていたので、台東にいた時の気持ちをスパッと出して、そこで見たことをそのまま書いたんです。いつもはテーマを考えちゃうんですけど「ま、いっか」って。そうやって日記みたいに書いた詩をエイミーに見せたら「30分くらいタバコ吸ってくるわ」って外に出ていって、帰ってきたらGoogle翻訳した日本語の詩を見せてくれたんです。それがとにかく素敵だったんですよね。
─<自分がこの町の猫や犬だったらいいな、なんて想像する>というように、情景から広がる言葉ですよね。
玉置:そうなんです。俺も街に猫とか犬がいるとは思っていたんですけど、その気持ちまでは想像が及ばなかった。エイミーが自分のバースでその空気感を広げてきてくれた感じがしたんです。角から犬が飛び出してきて、外ではおじさんたちが見ているテレビの白い液晶が反射して道に漏れてたり、そういう実際に見たストリートの景色を一言で掬い取ってくれたというか。“轉角”は良いバランスだし、歌の抜け感がある。

─歌の抜け感、ですか。
玉置:「メッセージを込めたい」っていう念が他の要素より勝っちゃうと、本来ハマらないはずの言葉数を入れるためのスタイルになっちゃうんですよね。MIZでは考えないようにするというか、ギターと歌の相性の中で最善の言葉数とかメロディーの動きがあって、それに沿うだけなんです。ロックなら逆にカッコよくなるかもしれないし、フォークなら拍をすぐに増やせたりするかもしれないんですけど。
─「MIZはフォークではない」という認識なんですね。
玉置:うん、そうです。そもそもジャンルとかを意識せずに作るんですけど、フォークって悲しみの側に立って救う言葉をちゃんと並べることだと思うんですよ。俺の知ってるフォークが“イムジン河”とか岡林信康とかなんで、偏っているだけかもしれないんですけど(笑)。
加藤:でもさ、“轉角”は周啓なりのフォークかも。自分が見たことをそのまま書くって、そういうスタイルは意外と初めてだと思う。
