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2000年代エモから現在へ。干川弦と盟友・toe美濃が振り返る、音楽と歩んだ25年

2026.4.1

dry river string

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京都を拠点に活動するupandcomingが5年ぶりとなる新作『NOTHING IS BUT WHAT IS NOT e.p.』を発表した。本作は盟友であるtoeが主宰の「Machupicchu Industrias」からのリリースで、録音・ミックス・マスタリングをtoeの美濃隆章が担当。また、同タイミングでボーカルギターの干川弦のソロプロジェクト・dry river stringが2009年に発表したEP『buried ep』と、2010年に発表したアルバム『Quiet』(美濃がエンジニア、toeのドラマー柏倉隆史が2曲に参加)が、「Penguinmarket Records」から再発されている。

昨年結成25周年を迎え、両国国技館でのライブを成功させたtoeは、メンバーそれぞれが別の仕事を持っていることでも知られ、美濃も自身のバンドとは別でエンジニアを仕事としている。同じように、干川も現在住んでいる滋賀県で「dry river」というパン屋を2店舗経営しながら、音楽活動を続けている。25年以上の付き合いとなる干川と美濃にこれまでの歩みを語ってもらったこの対談は、現在10〜20代からも大きな注目を集める2000年代以降のエモ〜ポストロックの歴史であり、バンドと仕事をめぐる価値観の変化を刻む、濃密な内容となった。

(左から)干川弦(upandcoming、dry river string)、美濃隆章(toe)

USエモやポストロックが盛り上がる2000年前後

—まずはお2人の出会いを振り返っていただけますか?

干川:美濃さんがまだpopcatcherをやっていて、僕がupandcomingの前身のworking class heroをやってたときに、京都で対バンしたのが最初だと思います。だからtoeのメンバーの中でも付き合いが一番古いのが美濃さんなんです。

美濃:思い出した。TEARDUCTとpopcatcherでスプリットを出したときじゃないかな。そこで初めてworking class heroのライブを観て、すごく良いバンドと思ったのを覚えてる。

—その後にtoeが結成されて、working class heroがupandcomingになり、2000年代の前半は同じレーベル(nine days wonderの斉藤健介が主宰する「catune」)に所属していました。

干川:それも偶然なんですよ。お互いそれぞれnine days wonderとつながりがあって、たまたまレーベルメイトになった感じです。で、そこからよく一緒にライブをやったり、toeのツアーに何ヶ所かついて行かせてもらったりして。

干川弦(ほしかわ ゆづる)
バンド「upandcoming」、ソロプロジェクト「dry river string」フロントマン。2026年3月、upandcomingとして5年ぶりの新作EP『NOTHING IS BUT WHAT IS NOT』をリリースし、直後にdry river stringの初期作品もデジタル解禁。現在は滋賀を拠点にパン屋「dry river」を営みながら音楽を紡いでいる。

—美濃さんは当時のupandcomingにどんな印象を持っていましたか?

美濃:フレーズとかメロディーの雰囲気が好きだったり、干川くんの淡々とメロディーを伝えるようにボソボソ歌う感じもすごく好きだったんですよ。

—upandcomingにしろdry river stringにしろ、やはり干川さんの歌が非常に印象的ですが、どんなルーツがあるのでしょうか?

干川:うちの親父がむちゃくちゃ音楽好きで、クラシックギター奏者やったんですよ。だから自分の名前も「弦」だし。なので、ちっちゃい頃からThe Beatlesとかサイモン&ガーファンクルが常に家で鳴ってて、そういうメロディーが無意識的に入ってたのは絶対影響あると思ってます。

—では逆に干川さんはtoeであり、美濃さんのことをどう見ていたのでしょうか?

干川:popcatcherのときから美濃さんのギターが好きで。こんなに弾きっぷりが様になってるギタリスト、それまで見たことなかったんですよ。で、当時はまだ山ちゃん(toeのギター山嵜廣和)のことは知らなくて、僕の中でtoeは「柏倉くんと美濃さんが組んだ新しいバンド」みたいなイメージだったんですけど、音源聴かせてもらって、「そりゃ絶対いいよな」ってなった覚えはありますね。

美濃隆章(みの たかあき)
インストゥルメンタルバンド「toe」のギタリストであり、レコーディング / ミキシングエンジニア。プレイヤーとして国内外で活躍する傍ら、数多くのアーティストの作品を手がける。2026年3月リリースのupandcoming新作EP『NOTHING IS BUT WHAT IS NOT』では録音・ミックスを担当している。

—2000年前後にはUSのエモやポストロックの盛り上がりが日本にも入ってきて、やはりtoeもupandcomingもそういったシーンから影響を受けたわけですよね。

美濃:もちろんPeleやThe Album Leafは好きで聴いてたけど、自分のフレーズの影響源はもっと古いというか、1つ前にやってたpopcatcherの頃からあんまり変わってないかもしれない。ディストーションを踏むパートが減って、アルペジオが中心になったり、そういう変化はあるけど、フレーズのチョイスはあんまり変わってないかな。

干川:僕は美濃さんよりちょっと年下なんですけど、僕らの世代はハードロックとかメタルがベースでありながら、リアルタイムでやってる海外のバンドから影響を受けることもあったと思う。

—upandcomingで言うと、どんな影響が大きかったですか?

干川:僕個人で言うと、中高生の頃はNirvanaが好きでしたけど、大学生にななって、レコード屋を巡り始めたのが大きかったです。当時CDよりも全然安かったんですよ。1,500円とかで買えたから、京都のJET SETのポストロックコーナーとかハードコアコーナーでひたすらレコードを漁ってて。なので、ポストロックが海外と日本で同時に盛り上がっているのは感じていました。

—それこそtoeとPeleがスプリットアルバムを出したりしてたわけですもんね。

干川:グランジとかハードロックは僕らが気づいた頃にはもうブームが終わってて、後追いで聴いてたけど、エモとかポストロックはリアルタイムで自分らが聴いてる中でピークを迎えた。だから「自分らの音楽」と思えるというか、そこを感じれたのはだいぶ大きかったと思いますね。

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