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開かれたエンタメにはしたかったけど、嘘はつかない
ーライブシーンは今作の見どころの一つですが、ムーブメントが盛り上がるに従って、ライブの熱量も増えていくのが如実に伝わってきました。俳優陣はもちろん、観客側の演出にも気を配られたんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか?
田口:めちゃくちゃ大変でした。エキストラさんをライブハウスのセットにお呼びしてやっていただいたんですけど、当時のお客さんの規模感を演出部が知らないんですよ。若いので当然なんですけど。だから、お客さんが多すぎるんですよね(笑)。ムーブメントが盛り上がってくるとお客さんは増えますけど、ライブハウスがパンパンになるってことはない。「もっとお客さんを少なくしてくれ」って口酸っぱく言いました(笑)。この時代を体験した人が見た時に「嘘じゃないか」と思われないように、バンドとお客さんのグルーヴには非常に神経を使いました。
ーライブを見つめるユーイチの「すごいものを見ている!」という表情も、とても重要な役割を果たしていますよね。
峯田:若葉くんにしろ、吉岡さんにしろ、太賀くんにしろ、間宮くんにしろ、目の前で演奏してたみんながめちゃくちゃよかったんですよ。それにすごい助けられました。みんなが「めちゃくちゃかっこいい」と思っている顔にしてくれたんだと思います。あと、監督がエキストラの皆さんの動き一つひとつに「当時はこうじゃなかった」と細かい演出をつけていて、当時のライブハウスが目の前にあるみたいで感動しました。ライブ盤を聴いたり本を読んだりして想像していたライブハウスを、映画のセットで追体験させてもらったというか。本当にこれくらい照明が薄暗かったんだろうな、みたいな。いい経験でした。
田口:当時は照明も少なかったんですよ。だから、照明も間引きました。フィクションとして守る部分はあるけれども、これ以上やったら嘘になるという、非常に微妙なラインがあるので、気を使いました。

ー「このムーブメントがライブハウスシーンの礎を築いたんだ」ということを伝えたいんだけども、「豪華なステージでたくさん人を集めたからすごい」というふうに伝わってしまったら意味合いが違いますもんね。
田口:そうなんです。開かれたエンタメにはしたかったけど、嘘はつかないという方向で、成立させたかった。