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「ゲーム音楽からの影響」という接点
ーmeiさんは以前のインタビューで新作アルバム『All About McGuffin』にRPGゲームの要素が影響していると話されていますし、チュンチュさんも“Hazard Course”のテーマをはじめ、ゲーム音楽からも多くのヒントを得ている印象があります。2人の共通のインスピレーションである「ゲーム」についていくつか聞かせてください。まず、お2人はどんなジャンルのゲームが好きですか?
mei:私はもう完全に1人でやるRPGですね。『ゼルダの伝説』が特に好きで。
チュンチュ:僕も『ファイナルファンタジー』や『ゼルダの伝説』、『クロノトリガー』のようなクラシックなRPGが大好きです。敵と対決するタイプのゲームよりは、1人で長い時間を過ごせるゲームの方が好きで、そういう意味ではジャンルは違うけれど、『ヒットマン』シリーズも好きでした。目標は1つですが、その目標を達成する方法は本当に無限にあって、「テレビゲーム界の囲碁」って感じ。選択肢が非常に多くて、ずっと悩んで試みながら1人で時間を過ごすことになるんですが、そういうスタイルのゲームが特に好きです。

ー2人とも1人でプレイできるRPGゲームが好きなのは、子どもの頃から、1人で過ごすことが好きだったり、あるいはそういう環境だったことが関係しているんでしょうか?
チュンチュ:まさにそうだと思います。一人っ子だったので、1人で遊ぶことに慣れていて、その感覚がそのまま今の趣味にも繋がっている気がします。
mei:私の場合、親の仕事の都合で転勤が多くて、子どもの頃はあまり友達がいなかったんです。やっと仲良くなれそうだなと思ったタイミングで引っ越してしまうことも多くて。そのせいもあって、自然とゲームばかりしていました。

ーゲームから受けている影響は、音楽制作のどのような部分に表れていると思いますか?
チュンチュ:ゲーム音楽って、メロディやリズムに中毒性がありますし、自分がゲームの中のプレイヤーとして没入しているときの感情で音楽を聴いてしまうところがあると思うんです。何かのストーリーを聴いているというより、そのゲームの世界の印象、雰囲気みたいなものが自然と浮かんできます。Noridogamの音楽を作るときも、「このテーマを伝えたい」というよりは、どこか懐かしさを感じさせる要素や楽器の選び方、アレンジを通して、具体的な物語よりも感覚的なものが伝わるような表現を好んでいます。
mei:たぶん人生の中で、どんな音楽よりも一番聴いてきた音楽はゲーム音楽だと思います。ただ、これまで曲を作るときに「自分はゲーム音楽の影響を受けている」みたいなことを意識的に考えていたわけではなかったんです。
でも改めて考えてみると、ループ感があることとか、その場面を象徴する役割をちゃんと持っている音楽が好きで、そういう要素が自然と自分の音楽にも反映されているんだなって気づいたのは本当にここ最近ですね。
きっかけは、“ゲームオーバー”という曲を出したときでした。あの曲では、自分の失敗や、ちょっとバカみたいな出来事を「ゲーム」に例えて、たとえ死んでしまっても、また最初のステージからやり直せる、みたいな感覚を表現したんです。そのとき初めて「ゲーム音楽」を意識して曲作りに落とし込んだことで、自身のルーツにある影響を自覚するようになりました。
mei:去年出した『All About McGuffin』もそういう流れでできたアルバムです。私はもともと自分で作った映画のために音楽を作ることもやっていたし、「場面に合った音楽を作る」という感覚がすごく好きなんです。突き詰めていくと、その原点にもやっぱりゲーム音楽がある気がします。
それから、曲を作るときには必ず映像を想像します。頭の中で映像を思い浮かべて、「ここにはどんな音が必要だろう」と考えながら作っていくんです。“ゲームオーバー”を作って以降は、映画や実写映像よりも、1990年代くらいのゲームの映像を頭の中で思い浮かべることが多くなって、そういう意味でも、ゲーム音楽からの影響はかなり大きいと思います。

チュンチュ:meiさんの話を聞いていて、すごく共感しました。自分もゲーム音楽を圧倒的に多く聴いてきたと思うんです。特に『悪魔城ドラキュラ』というゲームシリーズの音楽をたくさん聴いていて、それがきっかけでクラシック音楽、中でもバロック音楽への興味が一気に高まりました。Noridogamの音楽にも今回の“Hazard Course”含め、そういった要素がかなり多く含まれています。
―meiさんはNoridogamの音楽を聴いて、自分と感覚が近いかもと思った点はありましたか?
mei:世代もすごく近いですし、音楽やゲームとか、好きなものの感覚がきっと似ているんだろうなとは思っていました。音の選び方からも、SF的な「存在しない近未来」の世界観ではなく、コンピューターやネットが自分の身近にあるっていう現実的な感覚を感じて。ゲームやパソコンの起動音とか、実際に自分たちが触れてきたものの音というか、そういう日常に根ざしたコンピューター感、ゲーム感がすごく強くて。私自身も、ついそういう音を選びがちなので、そこにとても共感しています。