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Noridogam×mei ehara対談 「ゲーム音楽」と孤独が繋ぐ日韓インディの感性

2026.3.16

Noridogam “Hazard Course”

#PR #MUSIC

2025年に『FUJI ROCK FESTIVAL』へ出演し、『THE FIRST TAKE』にも登場。ここ日本でも着実に存在感を高めてきた韓国の4人組ロックバンド、Silica Gel。

同バンドでギターとボーカルを担当するキム・チュンチュによるソロプロジェクト・Noridogamは、Silica Gelとは対照的な静謐なインディポップを鳴らし、独立したアイデンティティを確立している。

3月18日(水)、5年半ぶりにリリースされるアルバム『Truthbuster』からの先行シングル“Hazard Course”では、シンガーソングライターのmei eharaとコラボレーションを行った。Noridogamのヴィンテージ感ある音楽には、細野晴臣をはじめ日本のミュージシャンたちからの影響も含まれており、この組み合わせが自然なものに感じられる理由はそこにある。

「“韓国と日本”という枠組みではなく、“音楽そのもの”で繋がりたい」というキム・チュンチュの日本のシーンへの尊敬と憧れ、mei eharaとの感性の共感が生んだ本楽曲。2人が曲を一緒に作り上げたプロセスや互いの価値観への共感、このコラボレーションが持つ意味とは何なのか。キム・チュンチュとmei eharaへの対談インタビューを行った。

mei eharaをコラボ相手に迎えた理由

ー2人の最初の出会いはいつでしたか?

チュンチュ:2025年の韓国で行われた『ASIAN POP FESTIVAL』です。meiさんとSilica Gelが同じ日に出演しました。

ーチュンチュさんは、SHIBUYA CLUB QUATTROでmeiさんのライブを観られましたよね。パフォーマンスについて、特に印象に残っている点はありますか?

チュンチュ:バンドの演奏が本当に素晴らしいなと思いました。特にドラムとベースが生み出すグルーヴがとても印象的で、聴いていてすごく楽しかったです。meiさんの楽曲は、全体的にリズムのループがはっきりしているものが多いですが、そうした要素がライブでもとても上手く再現されていると感じました。また、ギタリストの鳥居真道さんの演奏も非常に自由で、同じギタリストとして見ていてもとても興味深かったです。

Noridogam (ノリドガム)
バンド「Silica Gel」のギタリスト兼プロデューサー、キム・チュンチュによるソロ・プロジェクト・Noridogam。作詞作曲からマスタリングまで全工程を自ら手掛け、独自の音楽世界を展開中!2025年12月にはソウル・東京・大阪を巡る日韓ツアーを開催。3月18日に2ndアルバム『TRUTHBUSTER』をリリースし5月9日には来日東京公演が開催される。

ーmeiさんはもともとSilica GelやNoridogamについてはよく知っていましたか?

mei:『ASIAN POP FESTIVAL』で初めて会う前からどちらも知っていました。Silica Gelの方は私がK-POPをすごく好きな時期があったのですが、彼らが『Melon Music Award』でライブパフォーマンスをやっていたので、「韓国ですごい人気のバンドなんだなあ」って思って見ていて。だからこんな風に声をかけてもらえるとは思っていなかったです。

『Melon Music Award』でのSilica Gelのパフォーマンス
mei ehara(メイ エハラ)
シンガーソングライター/文筆家。学生時代に宅録を始め、2017年にキセルの辻村豪文をプロデューサーに迎えた1stアルバム『Sway』でカクバリズムよりデビュー。2020年にセルフプロデュースによる2ndアルバム『Ampersands』を発表。アメリカのシンガーソングライター、Faye Websterのアルバム『I Know I’m Funny Haha』(2021年)に参加し、2024年、2025年にはFaye Websterのアメリカツアーにサポートアクトとして出演した。2025年9月、約5年ぶりのフルアルバム『All About McGuffin』をリリースし、アメリカ4都市を巡るツアーを敢行。

ーコラボ曲を作ろうというアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

チュンチュ:もともとNoridogamは、1人で完結するプロジェクトでした。ただ、今回のアルバムを制作する中で、現状の制作スタイルに少しずつ限界を感じるようになったんです。それで今回は、いろいろな人の演奏や声が自然に溶け込むような作品にしたいと思っていました。

ーコラボ相手はどのような基準で考えましたか?

チュンチュ:僕は他の人とコラボレーションを行うことにあまり慣れていなかったので、たとえお互いを深く知らなくても、音楽的な質感や方向性がはっきりと近い人がいいなと思っていて。また、日本にいるミュージシャンだといいなという気持ちもありました。

ー具体的にmeiさんのどんなところが“Hazard Course”という楽曲に合うと思ったのでしょう?

チュンチュ:僕が元々フェイ・ウェブスターも大好きだったので、meiさんがコラボしている曲を聴いて、「この人も僕と似たようなものが好きなんじゃないかな」とも思っていました。meiさんなら、Noridogamの楽曲が持っている雰囲気や情緒を、細かく説明しなくても自然に理解して、咀嚼してくれるんじゃないかという期待があって、meiさんしか思い浮かばなかったんです。

それから、meiさんの曲を聴いていると、リズムのループやグルーヴへの愛情が自然と伝わってくることが多いんです。僕自身も、リズムやグルーヴを起点に曲を作ることが多いですし、特に“Hazard Course”は実際にグルーヴから生まれた曲だったので、きっと相性がいいだろうなと思っていました。

ー“Hazard Course”はどのような制作プロセスで進んでいったのか、教えてもらえますか?

チュンチュ:まず、この曲がどんな雰囲気や物語を持っているのか、説明した文章を自分なりに書いて共有しました。meiさんがどんな人で、どんな音楽を作ってきたミュージシャンなのか、自分なりの期待を持ちながらも、「どんな歌詞を書いてほしい」とか「こういう歌い方をしてほしい」といった具体的な注文はせずに、できるだけ自由度を残した形で提案をしました。

ー曲の背景について、どんなことを伝えたのか教えてもらえますか?

チュンチュ:普段から何かを決める時に、ある程度意見や方向性を決めていても、周りの人に意見を求めてしまうことが多いんです。すると、僕と似たような考えが返ってくることもあれば、まったく違う意見が返ってくることもあって、そのたびに「僕が最初に思っていたことは本当に正しかったのかな?」「もしかして間違っていたんじゃないかな?」と気持ちが揺らいで何もできずに立ち止まるようなジレンマの状態に陥ってしまうことが多々あって。meiさんにはこの曲はそういう迷いや葛藤についての歌だということを伝えました。

ーmeiさんはカクバリズムの公式サイトのコメントで、楽曲のテーマについて「自分にも経験のある、共感できる内容だった」と書かれていましたが、実際に彼から文章を受け取ったとき、どんな部分に共感しましたか?

mei:私もソロで活動していますが、サポートメンバーや事務所の方がいるし、自分のステップアップのためにビジネス的なことを考えなければならない場面も出てきます。そういうとき、自分の中では決めているはずなのに、つい周りの人に意見を求めてしまうことがあって。音楽制作に限らず、人間関係、恋人関係とか、実生活の中も含めて、共感できる部分が多かったです。送ってもらった説明がかなり長い文章で、丁寧に書いてくれていたので、「ああ、分かるな」と。

ー彼の話に共感したことで、歌詞はすらすらと書けましたか?

mei:チュンチュはすでに1番の歌詞を書いていて、私はそれを踏まえた上で2番を書きました。1番で語られている内容を、別の視点からどう表現するか、かなり手探りでした。「人に話を聞くほど、かえって悩んでしまう」という、すごくシンプルなことを、できるだけ具体的にしすぎず、それでも伝わるようにする。そのさじ加減が本当に難しかったですね。

パーソナルな内容でもあったので、お互いが感じていることが100%一致しているわけではないとも思いましたし、あれだけしっかり説明をもらうと、あまり身勝手な解釈はできないな、という気持ちにもなって。だから、自分の経験と彼の文章を照らし合わせながら、「たぶんこういうことなんだろうな」というところを汲み取って、ちょうどいいバランスを探りながら歌詞を書いていきました。英語だからこそ、あまり離れすぎないように、でも狭すぎず、聴く人が広く受け取れるように書く、ということを意識しました。

ー「広く受け取れるように」というのは、パーソナルな話であっても、聴いている人が「自分にも似た経験がある」と感じられるようにと?

mei:そうですね。あと、チュンチュが説明してくれた内容を、どこまで公にしていいのか分からなかったというのもありました。こういう曲の背景って、トラウマに近い話でもあるし、あえて具体的に語らない人もいるじゃないですか。

だから、特定のイメージに固定されすぎないように、「はっきり分からないけど、なんとなく分かる」くらいの広さを目指しました。これは普段から私がやっていることでもあるんですが、それを英語でやるのが本当に難しくて。でも、そこを目指して書いた、という感じですね。

ーチュンチュさんはmeiさんが書いた歌詞を読んでどう思いましたか?

チュンチュ:僕自身、普段から歌詞を書くときには、具体的な内容を詰め込むより、絶妙な雰囲気や感情が漂っているようなものにしようと意識しています。meiさんが書いてくれた歌詞は曲のムードにも、すごくしっくりきていましたし、歌詞の内容だけでなく、ライムまでしっかり意識した歌詞が届いて、とても繊細に書いてくれていて、ありがたかったです。

ー3月にはこの曲を収録したアルバム『Truthbuster』が発表されますね。アルバムの中で、この曲はどんな位置づけにありますか?

チュンチュ:今回のアルバムは、A面とB面に分かれるような構成になっています。“Hazard Course”はA面の最後、つまりクライマックスを担っている曲という位置づけです。アルバムの冒頭から“Hazard Course”までは、直接的で、エネルギーが外に向かって開かれた表現の曲が続きますが、B面ではインストゥルメンタルの曲が増えて、表現の仕方も比較的間接的な楽曲が多くなります。特にこの曲は、サウンドや全体の印象の面でも、より厚みや豊かさを感じられる楽曲だと思っていて、だからこそA面の最後に置くのが自然だと感じました。

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