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ん・フェニが語る、「可愛い」を遠ざけた過去との和解。ドリーミーに奏でる反抗精神

2026.3.31

ん・フェニ『tiered skirt』

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揺らいだとしても、今が常に本当の自分。「ただ自分でいればOK」という個人主義の哲学

─その点においても前作からの作風の変化が読み取れるというか、怒り方にバリエーションが生まれたような気もします。怒ってはいるんだけど、その感情の届け方が幅広いというか。“ラウドおじいちゃん”はその典型例だと思うんです。

ん・フェニ:アハハ(笑)。年末年始に実家へ帰ったら家族から色々言われたんですよ、「あのことでしょ?」って。

─え、実話なんですか?

ん・フェニ:はい、亡くなったおじいちゃんのことを歌ったんです。ある年の正月に、こたつでいとこたちとおじいちゃんといたら、酔っ払って「ウコンの力」をぶちまけられたんですよ(笑)。小学生の時の記憶なんですけど、それが伝説すぎて家族間で語り継がれてるんですよね。

─それで<栄養ドリンク酸っぱかったかな 孫の顔にブーshit飛ばして>という歌詞に。

ん・フェニ:おばあちゃんを置いて車で帰ったこともあったし、「いま何年生?」って会うたびに聞いてくるし。これはリアルですね。ビジュアルとかSNSを見て私の曲を聴くとギャップがあるらしいですけど、私ってファンタジーというよりリアリストなんですよ。

前回のインタビューでは「キラキラした部分だけを見せているエンタメが嫌い」と仰っていましたね。

ん・フェニ:そうですね、人間として汚い面も見せたくなっちゃうタイプなんです。“i’m so sorry”とかも歌詞だけ見ると暗いし、ずっと謝ってる普段の自分が出ているというか。口癖みたいに「すみません」って言ってるんですよ(苦笑)。そういうバッドなマインドのループに入った時の歌ですね。

─赤裸々という点では、アルバムの中でも終盤の“i will not be your girlfriend”は自伝的な内容となっています。

ん・フェニ:前からあったデモをこのタイミングで残すことにしたんです。東京がそもそも好きで、電車で実家の方面とか行くたびに「ここを抜け出して良かったな」とは思ったりするんですよ。そういう実感はありますけど、自伝ではないかもしれません。本当に幼い頃のことなんて思い出したくはないというか。

─ただ、ロックと結婚した(<I got married to rock music when I was 15>)という一節はロマンチックですよね。

ん・フェニ:言ったらカッコいいかなって(笑)。

─(笑)。

ん・フェニ:私、そんなにカッコよくないです。

─何も信じられなくなりそうです(笑)。ただ、『tiered skirt』には「今見えているものが全て」という肯定感があるというか、オリジナルかどうかは関係なく、ただ自分でいればOKなんだっていう、個人主義的な哲学を感じるんですよ。アルバムの中で色々なものが揺れ動くんですけど、ん・フェニさんの圧倒的な個性がそれによって際立つというか。象徴的な曲として、ラストの“BRING YOU BACK TO LIGHT”ではまさにガラッと声が変わりますよね。

ん・フェニ:そうですね、この曲のテイストは、「ん・フェニ」というアーティストのど真ん中ではないけどアルバムの中でなら出せると思いました。ストリングスから始まって、The Maríasみたいな⾼級感のあるサウンドを目指す……。こういう方向性は私みたいな予算の少ないインディーズではあんまりやっている人はいないと思います。

例えば泥臭いロックとかローファイベッドルームポップだったら、写真にざらついたエフェクトをかけるように音も歪ませて、多少のことは色々誤魔化しが効くけど、洗練された高級感あるジャンルをやりたかったら、演奏が上手であってほしいしカッコつけ切らないといけなくて、滑ったら恥ずかしい思いをする。だから予算が無いうちは予算内でクオリティが確保できることをすることが多いけど、私は今回そこをはみ出して挑戦しました。すべてがうまく行ったわけではないけど、とにかく今の自分なりにアウトプットしましたね。

ん・フェニ:わかる人が聞いたら、セイント・ヴィンセントが好きなんだねと思われるかもしれない。でも私としてはThe Maríasやビリー・アイリッシュ、平沢進とか色々なものを参考にしてるし、それだけじゃ無いです。そもそも「学ぶ」とは「真似ぶ」が語源であるように、真似することは当たり前ですよね。少数派のうちはパクリだと叩かれますが、競技人口が増えればそれは文化になりジャンルになります。よく「誰が⼀番最初に思いついたか」で議論になりますけど、それは予算や発表の場がある人が優先的に取り組めるだけで、本当は誰が最初かなんて分からないと思います。私は自分が参考にされることも嬉しいですし、大好きなスタッフさんの仕事が増えたら嬉しいからクレジットも隠さないです。

─腹が据わっていますね。

ん・フェニ:だからとにかく予算が欲しいんです。やりたいことはめちゃくちゃ具体的にあるし、イメージボードもすぐ出せるし、演出も曲もビジュアルも湯水のように出るんです。それに、今まで頑張ってくれた人たちにお返しがしたい。ちゃんと正当なギャラを払って、「この作品を作った影にはこんな人がいます」って、自分の影響力を還元したいんですよね。なのでいつかはチャリティーもやりたいんです。私に期待してくれている人にお返ししたいですね。

ん・フェニ FULL ALBUM『tiered skirt』

CD+8P 蛇腹BOOKLET / 3,000 (+TAX)

【CD INDEX】
M01. mє iη үσυя ∂яєαм
M02. Merry -band ver-
M03. i’m so sorry
M04. SPARK SPARK
M05. TOFU MENTAL(怒)
M06. なにかいいことあるといいな
M07. ラウドおじいちゃん
M08. FRIENDS feat. pavilion
M09. i will not be your girlfriend
M10. 日々
M11. BRING YOU BACK TO LIGHT

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