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GEZAN・マヒトが武道館という「形式」を借りる理由。最後に本当の意味で残るものとは

2026.3.7

#MUSIC

自由になろうとしていたところに音楽があったのは、やっぱ全然偶然じゃない。あの力は一体何なんなんだろう。(マヒト)

マヒト:ちなみに音楽以外も含めて、floatanさんがそういう両軸を感じるような、似たようなフィーリングを感じるものって何かありますか。映画でもいいし、食べ物でも、人でももちろんいい。

floatan:動物かな。でも、あんまりないかもしれない。私が知らないだけなのかも知れないけど、そんなにいっぱいある話でもないような気がして。

マヒト:何でそういう、両軸に行くバンドとか、ものが少ないと思いますか。

floatan:人によって事情が違う気がするけど、魂ではなく肉体の知覚の方に偏らざるをえなくて、使いづらくなっていったんじゃないかなと思います。魂の知覚がある人とない人がいるわけじゃなくて、小さくなってる人と、めちゃめちゃそれがマックスに近い人がいて、GEZANはマックスに近い人たちだと思うんですよね。ライブのときは特に。その状態になるために長い時間スタジオに入ってたりするのかなっていうふうにも思うんですよ。おかしいぐらい長い時間スタジオに入ってるように感じるのは。

マヒト:全然うまくならないです。

floatan:(笑)。多分うまくなるために入ってるんじゃないんだろうなっていう。

マヒト:うまくなるために入ってるんですけどね(笑)。

floatan:うまいとかどうかは私はわかんないけど。でも、どんな状態になってもその感覚をなるだけ保つために練習してるように私は見える。

だから『100時間リレー』(※)のときも、めっちゃ疲れてるのにいろんなゲストの方と演奏できていたんじゃないかなって。とにかく即興演奏をあれだけ聴き続けることができるっていうのと、編集されずに全部見ることができたから、ずっと面白かったです。

それに、ゲストとの時間が終わってGEZANのメンバーが入れ替わり立ち代り入るときに、知らない人に抱っこされてた赤ちゃんが家族に抱っこされたときの赤ちゃんになったみたいな感じがあって、見ているこちら側もその感覚で。

※100時間リレー:アルバム『I KNOW HOW NOW』リリースにあわせ、2月6日20時から2月10日24時までの100時間をGEZANメンバー4人が25時間ずつ担当しライブを繋いだリレー企画。ゲストを交え開催され、その全編がYouTubeで生配信された。

マヒト:あれはどういう感覚なんだろうね、確かに言われてみるとちょっとあるね。全員他人なんだけど、ヤクモアとかロスカルが入ってくるときは、他者とやってるときとはまたちょっと違う。同じく他者とやってるんだけど、確かに違う。

floatan:なんかそういう、「その感じ」が全部に影響してるような気がしてて。

マヒト:100時間に関しては、ドイツに『Fusion Festival』っていうフェスがあって。自分たちが出演したときは、全部で24時間×3日間あって、その間のタイムテーブルにトリがないんですよね。要はヘッドライナーがいなくて、全部のタイムテーブルがずっとぶっ続け。そうなると、ピークタイムを自分で選べるようになるんですよ。

普通のフェスだと21時から22時までとか、クラブの時間だったら1時2時とか、ピークタイムに向けてコンディションを調整したりするんだけど、それって本当は自然ではなくて。自分の体とか心とか、そういう状態も含めて本当は個人個人に心のタイムテーブルと体のタイムテーブルがあるはずなんですよ。『Fusion Festival』みたいにピークタイムがないと、疲れてたら仮眠をとって、自分が起きたタイミングで出ていけばそこの時間がピークになる。

本当の意味で自由になる時間軸を知って、何かが消滅しないと本当に自由になりきれないんだなっていうことを思ったんです。時間って、自由ってもののある種の強敵で。今もこうやって話しながら、次の予定っていうリミットがありながら喋ってるけど、本当に自分が自由を感じられるっていうのは、時間が剥奪された状態だと思うんですよね。

もちろん、『Fusion Festival』で得たものと『100時間リレー』はイコールではないんだけど、100時間になるとコントロールができないし、タイムテーブルも組めないし、起承転結が利かない。そうするとやっぱりどうしても赤ちゃんみたいに無防備になる。でもゲストが来たらスイッチを入れなきゃいけないし、知ってる人が来たら、お母さんが来たようにすっと気持ちが和らいだり。あの中で一番重要だったのはそこの気持ちの伸縮で、もはや人前で見せられるような状態じゃない精神や、意識の状態がただ漏れていたことだったと思う。

マヒト:フェスや祭りが、もしくは音楽っていう体験が自由っていうものに向かうなら、時間というものとどう付き合うかってすごい重要で。いま全員がこの時間に、時価が発生しちゃってるから。自分も手放しに自由になりきれないところがあるし、予定もあるし。『全感覚祭』しかり、どうやってその時間っていうもの自体と対峙できるのかなっていうのはテーマにあるな。

あと、いつも出かける準備をするとき、音楽かけてるとめっちゃ遅刻するんですよね。本当に全然焦らなくて。だから「もう今出ないと絶対間に合わない」「もう15分は遅刻だ」とか、焦んなきゃやばいときは音楽を消すとようやく体が焦るモードに入れる。それぐらい音楽って時間を麻痺させる力がそもそもあるんですよね。そうやって時間を麻痺させて、日常でそれぞれが持ってるドキュメントを一旦精算して、どれだけ自分の時間としてその時間を過ごせるか。たとえば昔、火を囲んで、それぞれが抱えてきた個人的なドキュメントを超えて自由になろうとしていたところに音楽があったのは、やっぱ全然偶然じゃないよなっていうのを、今日遅刻しそうになりながら音楽切ったときに思った。あの力は一体何なんなんだろうなって思うから。

floatan:そういう自由の状態になろうとしたとき、みんなで車座になったり、得体の知れない植物の汁を飲んだりとかしなくても、GEZANのライブを観ていると音が鳴っているだけで、気づいていてもいなくてもみんなに何か起きてる気がしていて。それが大きい会場になったときに、小さい会場とはまた違うことが起きるのかな、何が起きるんだろう、って純粋に楽しみです。

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