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『豊岡演劇祭』はなぜ表現者から人気なのか?表現活動を刺激する「出会い」を解説

2026.3.19

『豊岡演劇祭』

#PR #STAGE

日本最大級の「フリンジ型」舞台芸術の祭典。3つの部門の特徴は?

―こうして『豊岡演劇祭』の特色をお聞きしていると、外にひらいて参加者を公募する「フリンジ」はまさにその最たるプログラムで、参加者と演劇祭の相互にもたらす反響や効果が非常に大きいのではないかと感じます。どういった経緯でフリンジ型の募集を開始されたのでしょうか。

松岡:「フリンジ」の語源には様々な説がありますが、『豊岡演劇祭』におけるこの言葉の意味づけは、1940年代にヨーロッパの演劇祭で起きた現象に由来しています。アヴィニョンやエジンバラで演劇祭が開催されるようになった頃、そこで上演されるのは招聘作品が中心だったわけですが、そうした枠組みへのカウンターとして、招聘されていないアーティストたちが自主的にその周辺で作品を上演してたんです。つまり、演劇祭と同時期に近いエリアで上演されているけれど、別団体が運営しているという状態。

そんな風に、自主的に創造の場を作り、表現を始めた数多のフリンジたちの存在が、豊岡における「フリンジ」という言葉の原点となっていて、そこをフェスティバルとして一体化しているのが『豊岡演劇祭』です。『豊岡演劇祭』のフリンジは、セレクション、ショーケース&ミーティング(※)、ストリートの3枠に分類されていて、アーティストや団体にとってフィットする形を選んでいただく形になっています。

※2025年までは「ショーケース」の呼称。

―3部門の特徴はどのような違いがあるのでしょうか?

松岡:まずセレクションはフリンジの象徴的な部門で、制作支援金や会場費を演劇祭が負担するなど、いくつかサポートの特色があります。コーディネーターが付き、会場選定やリサーチ等もバックアップをするので、初めて参加される団体やアーティストにとっても心強いのではないかと思います。「豊岡で公演を打ちたい」となった時に、まず会場を掘り起こさなくてはならないわけですが、どういった場所だったら実現できるか、あるいは、作品の効果が高まるかがわからないと思うんですよね。なので、周辺地域や会場を熟知したコーディネーターの役割を拡大しました。

松岡:2つ目のショーケース&ミーティングは、一つの会場を複数団体でシェアするショーケース形式の公演。会場はもちろん、テクニカルスタッフや宿泊場所も演劇祭が手配をします。これは、コロナ禍を経て2022年にできた部門なんですよ。

―ショーケースにはこれまでも多くの若手団体が参加をされていて、観客にとっても一度に複数の気鋭の若手団体の作品が観られる貴重なプログラムだと感じます。

松岡:2020年以降、数多の公演中止を見てきた中で「今後の活躍を期待される最若手の団体や表現者が『豊岡演劇祭』に参加しようとして中止の負債を抱えてしまう、なんてことはあってはならない」と痛感したんですよね。そんな思いから、着の身着のままで来られる部門として立ち上げたのがショーケース部門でした。コロナ禍が過ぎ、その役割がいったん落ち着いたので、2026年からは公演中止のリスクよりも、一緒にやるメリットを活かしたいと考え、ワークショップや交流の場を作り、概念をリクリエーションする意味も込めて「ショーケース&ミーティング」と銘打つことにしました。

ストリート部門が発足したのも同じく2022年から。「セレクションやショーケースでやるのはハードルが高い」といった声を受け、そんな団体にとっても参加しやすい場所を考えた時に「路上」に行き着きました。

松岡:どのジャンルがどの部門に応募してもいいのですが、演劇に限らず、野外向きのダンスや大道芸や音楽のパフォーマンスも積極的に作りたいという思いもありましたし、実際にストリート部門をきっかけに参加した人数も増え、2025年の動員数を万単位で押し上げてくれています。どの部門においても、アーティストと地域を繋ぐ「翻訳者」のような存在でありたい。僕も含めて、フェスティバルを育んでいるスタッフたちはそんな思いを持っています。

―団体や作品の多様性はもちろん、その交流の場の多さも非常に印象的でした。毎日どこかしらで団体やアーティスト間の対話や観客とのコミュニケーションが重ねられていたことも含め、フリンジのショーケース部門に「ミーティング」という言葉が付加されことはとても象徴的な変化であるように感じます。

松岡:去年からショーケース部門の会場を大学から豊岡ミリオン座という小劇場に移したことも影響していると思います。大学を会場にしていた頃はどうしても時間的な制限があり、公演が終わったらすぐ宿に帰る、というタイトなスケジュール感だったのですが、ミリオン座になってから、人がその場にいやすくなったんですよね。より砕けた表現で言うと、公演後もみんながダラダラ残るようになったんです(笑)。

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