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江頭誠の個展をレポート。母の花柄毛布を「ダサい」と言われて始まった10年の軌跡

2026.3.5

#ART

油粘土で「一緒に住みたかったワンちゃん」を創作

屏風の作品を背にして展示室を出ると、白いベッドがあり、その上に横たわる少年の上に毛布が掛けられている。毛布にはこれまでに江頭が用いてきた花柄毛布の柄がプロジェクターで投影されており、今まで観たものが全部夢だったというような「夢オチ」を思わせるインスタレーションで展示が締め括られる仕掛けだ。そして、ベッドの脇には、油粘土で作られた「一緒に住みたかったワンちゃん」の姿が。

『IN MY DREAM』(2026年)『不思議の国のアリス』さながらの夢の世界を味わった

「彫刻を学んできて、世に残る彫刻とは何なのかというと、硬くて耐久性のあるものだというのはひとつの答えです。昔、花柄毛布の僕の作品を観た人から、硬くて耐久性のあるものじゃないと残らないよねと軽い気持ちで言われたことがあって、これもやっぱり人の言葉なんですけど、すごく記憶に残ったんです。じゃあ毛布はダメなのかと思ったり、でも逆にもっとやってやろうとなったりして。油粘土の作品は、時間が経てば経つほど重力で下がるし、触ればすぐに形も変わり、耐久性もありません。だから、あえてそういうもので自分の大切なものを作ろうと思ったんです」

『IN MY DREAM』(インスタレーション)の一部 / 犬を飼いたかったという江頭の思いが油粘土のワンちゃんに込められている

そのきっかけとなったのが、数年前に亡くなった祖母の家の整理に行ったこと。江頭が幼稚園児だった頃に、油粘土で作った「龍の上に親族がいっぱい乗っている作品」を祖母が亡くなるまで大事に持っていたのだという。

「龍も曲がっていて、親族もバラバラになっていたんですけど、作品が載っていた段ボールに油染みが残っていて、その状況がすごく愛おしかったんです。そういったものを展示の最後にできたらいいなと思って、あのような形にしました」

この展示には、江頭誠が作家として歩んできた10年の思考の軌跡、意識の変化が込められている。これからキャリアを重ね、その自己変遷を作品に表現することになったら、展示室1室には収まらない壮大なインスタレーションが生まれるはずだ。今後もその活動を追いかけたいと思わせる、魅惑に満ちた江頭誠の展示だった。

『梱包されたパイプ椅子』(2025年) / デザインチェアを多く収蔵する埼玉県立近代美術館ならではの作品
『干された花柄毛布』(2026年)「美術館の日常に違和感を作りたかった」(江頭)

アーティスト・プロジェクト#2.09 江頭誠『夢ゆめ見みる薔薇ばら ~Dreamingドリーミング Roseローズ~』

会期:2026年2月7日(土)~5月10日(日)
休館日:月曜日(ただし、2月23日、5月4日は開館)

開館時間:10時00分 ~ 17時30分(展示室への入場は17時00分まで)

会場:2階展示室D
観覧料:無料
主催:埼玉県立近代美術館
広報連携協力:美術と街巡り・浦和実行委員会
広報協力:FM NACK5

公式サイト:
https://pref.spec.ed.jp/momas/artist-project209

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