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自分を強く見せようとしていた鎧を脱ぐ表現
「トロフィーの受賞歴にすがっているようではダメなのではないか、本人が面白くなければ意味がないのではないか。そんなことを考えてトロフィーも花柄毛布で包んで床に置き、土産物屋で売られている『根性』とか書かれたお土産をモチーフに、発泡スチロールで大きく作って軽やかにしました。そして、自分を強く見せようとして着ていた鎧は、自分を縛るだけのものなので、それを脱ごうと思ったんです。床に置かれているマッチョの肉襦袢みたいなものは、パーティーグッズとして売られているものを毛布で包んだ作品ですが、そうした鎧を脱いで脱皮することを表現しました」

威厳や格式などを、ユーモアを交えながら批評的な視点で捉え直す江頭の手法から生まれた作品の数々。「でも、それだけでは今まで通りの展開なんです」。何かを否定したり、疑問を提示するのは簡単だと考える江頭は、本当に自分が好きなことや本物の安心を自分のやり方で表現するために何ができるかを熟考した。出てきた答えが「絵画でも彫刻でもなく、自立する絵画のような屏風。今まで背景になる作品を多く作ってきて、屏風もまた式典などの際、主役の背景の役割にもなる。その屏風を今度は鑑賞者に主体的に目を凝らして何かを探しながら見てもらえるものを作りたいと思った」だった。


「展示冒頭の彫刻や絵画がモチーフの作品に使われた花柄毛布の、切り取られて残った余白の部分を再構成し、捨てるはずだったものを最後に主役として持ってこようと考えました。花が切られ、穴の空いた毛布でできた屏風の隙間からは、僕が飼いたいと思っていたワンちゃんが覗いていたり、手前に鳥がいたりして、ジャングルのような感じになっています」
造花やおもちゃの動物など、すべてが偽物で作られた屏風。それは見立ての空間であり、「本物に近づこうとして作られた偽物を愛おしく思う」という江頭の趣向が反映された世界だ。

