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花柄毛布で身の回りのものを再現

展示室の入口横に設置されたのは、パチンコ店などの開店祝いを想起させる花輪。花柄毛布で作られた造花という、二重の花使いが誘い水のようになって来場者を江頭の世界へと迎え入れる。そこから、西洋彫刻や西洋絵画をモチーフにした作品群が最初に展示されており、美術の殿堂に置かれるような作品も花柄毛布で包まれると、一気に親しみやすいものに変わる。それは、西洋風の暖炉やシャンデリアも同様だ。江頭はこの花柄毛布を用いた制作を「硬いものを柔らかくしていく行為」のようなものだと話す。

「僕は三重県の田舎出身なんですが、地元にはヤンチャな先輩とか同級生とか後輩がいて、町を歩いているとよくぶつかってきて絡まれていたんです。それで高校に入ってから、先輩にもらった短い学ランとか太いズボンを穿くようになったんですが、そうしたら急に絡まれることがなくなりました。でも、実際に強くなったわけではないし、本当の安心を手に入れたと言えるわけではないと思うんです」
彫刻を専攻した江頭が、マッチョな石膏の彫刻などに見たのは、西洋美術のど真ん中の表現。そのフォーマットにのっとって作品を手がけた場合、どれだけ技術が上がったとしても、それが江頭のオリジナルな表現であるかというとおそらくそれは難しい。西洋美術の威を借りて制作したに過ぎないと言えるだろう。展示室を進んだ先の床に並べられたトロフィーの数々も、やはり自分本来の表現を行うとはどういうことであるかを考えた末に生み出された。

