メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

温泉×探偵ドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』が教えてくれるゆるやかな「寛容さ」

2026.2.13

#MOVIE

©テレビ朝日
©テレビ朝日

「ゆるさ」で声なき声を拾い、叶わない夢を叶える

時空の歪みで現代の西ヶ谷温泉に辿り着いた真田十勇士の1人・穴山小助(三河悠冴)©テレビ朝日
時空の歪みで現代の西ヶ谷温泉に辿り着いた真田十勇士の1人・穴山小助(三河悠冴)©テレビ朝日

次に特筆すべきなのは、本作全体の「ゆるさ」がもたらす壮大な優しさである。第4話において、町の温泉が止まるかもしれないという「町の一大事」を何より心配する人々は、真田十勇士が「九勇士」になっているという歴史上は重大な時空の歪みが「既に起きてしまっているために」気づきようがない。戦国男子・穴山小助は、なぜかするっと令和に適応してしまい、街の人々はそのまま人柄のいい彼を愛し、無条件に受け入れる。結果、タイムマシーンを作って戦国時代に送り返すのは「今の科学じゃパワーが足りなかった」こともあり、「帰りたくない」という本人の意志を尊重し、小助はそのまま洋輔の住む旅館「ゆらぎや」で暮らし続けるのだった。

お湯と話すために洋輔が発明した「OU翻訳」©テレビ朝日
お湯と話すために洋輔が発明した「OU翻訳」©テレビ朝日

続く第5話では、温泉街に突如湧き上がった土地買収騒動と、「ハイパー温泉クリエイター」(廣末哲万)の温泉マナーの悪さに怒り狂った温泉の「お湯」による殺人事件を描いた。ここで興味深かったのは、洋輔の発明した「OU翻訳」によって、「お湯」が「誰かと話をする」喜びを知ったことに対する洋輔の葛藤を描いていたことだ。人間の都合でお湯を話せるようにしたのに、再び話せなくなるように戻さなければならない自身の身勝手さを懺悔する洋輔に対して、14歳の元フィギュアスケーター・北由香里(川上凛子)は「全部言葉で言えるんだったら、涙なんか出ないと思いますよ」と返す。それはその直後の場面で、閉店セール真っ最中の「フレッシュマート酒井」の看板娘・酒井あおい(高橋ひかる)の内に秘めた思いを示す、言葉より雄弁な表情の変化や手の動きに繋がっていくのであるが、本作はそこで終わらない。

事件の解決と共に「お湯」はしゃべる機会を失うはずが、町役場職員たちの計らいにより、「OU翻訳」を使ってご機嫌に町内放送を担当している。そうやって本作は、非現実的な方法で、声なき声を拾い、本来なら叶わない夢を、驚くべき「ゆるさ」で叶えるのである。それこそが本作の魅力ではないだろうか。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS