メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『再会~Silent Truth~』様々な要素を持つドラマを成立させる「竹内涼真力」

2026.2.10

#MOVIE

©テレビ朝日
©テレビ朝日

主演作『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で大きな話題となった竹内涼真の次回作として注目を集めるヒューマンラブミステリー『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日系)。

人気小説家・横関大によるデビュー小説を原作に、脚本は、向田邦子賞受賞の『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)などのベテラン脚本家・橋部敦子が、メイン監督は、『和田家の男たち』『星降る夜に』(共にテレビ朝日系)なども手掛けてきた映画監督・深川栄洋が担当し、予想できないストーリー展開と映像美が人気となっている。

第1~3話の累計見逃し配信回数がテレビ朝日ゴールデンドラマ史上最高記録を更新し続けている本作について、ドラマ映画ライターの古澤椋子がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

過去の関係が現在の事件につながる「ヒューマンラブミステリー」

故郷にある警察署に異動してきた刑事・飛奈淳一(竹内涼真)©テレビ朝日
故郷にある警察署に異動してきた刑事・飛奈淳一(竹内涼真)©テレビ朝日

過去の恋愛や人間関係が、その後に起きる事件につながる設定はミステリーの定番だ。連続ドラマでもそうした作品は定期的に制作されている。2025年10月期に放送された『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)は、小学生時代のいじめをきっかけに連続殺人事件が発生する物語だったし、『Nのために』『最愛』(TBS系)などは、学生時代の恋愛感情が、事件に絡んでいった。

現在放送中の『再会~Silent Truth~』もまた、主人公たちが小学生時代に巻き込まれたある事件と当時の友情や恋愛が、数十年後の殺人事件につながる物語だ。「ヒューマンラブミステリー」という冠の通り、これまでの4話はヒューマン要素とラブ要素、ミステリー要素がバランスよく散りばめられたドラマになっている。

同級生4人の秘密を見守るサスペンス

淳一の小学生の頃の同級生で初恋相手・岩本万季子(井上真央)©テレビ朝日
淳一の小学生の頃の同級生で初恋相手・岩本万季子(井上真央)©テレビ朝日

主人公・飛奈淳一(竹内涼真)が、故郷にある警察署に異動してきた矢先、ある殺人事件が発生する。その容疑者は、小学生の頃の同級生で初恋相手・岩本万季子(井上真央)だった。万季子は、淳一の同じく同級生で友人である清原圭介(瀬戸康史)と離婚したのち、一人息子・正樹(三浦綺羅)を育てるシングルマザーになっていた。そして、殺害されたのは、同じく同級生である佐久間直人(渡辺大知)の腹違いの兄・佐久間秀之(小柳友)だった。さらに、秀之が殺害された際の凶器は、23年前の現金輸送車強盗事件で殉職した巡査長・清原和雄(弓削智久)の拳銃だと判明。それは、淳一ら同級生4人が密かに持ち去り、タイムカプセルに埋めて封印していたものだった。

警察も、当時の拳銃が今回の事件の凶器であると断定。淳一は、小学校の同級生の中に殺人犯がいるのではと疑わなければならなくなったと同時に、拳銃を持ち去った秘密を隠し通さねばならないことになってしまう。そんな中、淳一とバディを組む刑事・南良理香子(江口のりこ) は、4人の秘密を明らかにしようと独自捜査を進める。

視聴者は、事件の犯人は誰かの謎解きを楽しむと同時に、4人の秘密がいつバレてしまうのか見守る形になっている。ミステリーとしても、サスペンスとしても、楽しませるドラマだ。

『じゃあつく』とは違った魅力的な表情を見せる竹内涼真の演技

淳一の言えない言葉と明かせない苦悩を強く感じさせる竹内涼真の演技©テレビ朝日
淳一の言えない言葉と明かせない苦悩を強く感じさせる竹内涼真の演技©テレビ朝日

様々な要素を持ちながら1つのドラマとして違和感なく成立させるに当たって大きいのは、なんといっても主演を務める竹内涼真の力だろう。

現時点で、淳一は作中で最も葛藤を抱える人物といえる。刑事として、幼なじみを犯人として疑わなければならない一方で、自分が所属する警察組織に対しては自らと事件の関わりを隠し通さねばならない。更に、淳一にとって万季子は初恋の相手。万季子と圭介が結婚していたことも、淳一の心にわずかなひっかかりを与えている。竹内は、そんな正義感と罪悪感、個人的な感情が入り混じる役を見事に演じている。

第1話で圭介が万季子の元夫だと知った時、第2話で万季子に髪を切ってもらっている時、そして、第4話で息子の正樹とキャッチボールして欲しいと万季子から電話で言われた時の表情の素晴らしさ。いつもは理性的な淳一だが、万季子と再会し初恋の情が刺激された時や、圭介からもあの頃の思いを煽るような言葉をかけられた時には、隠している感情を垣間見せる。竹内が見せる表情からは、淳一の言えない言葉と明かせない苦悩の大きさをありありと感じられる。竹内の理性と本能の狭間にいることが伝わる芝居が、本作のヒューマンドラマ、ラブストーリー、ミステリーとしての面白さを実現している。

2025年10月期に大きな注目を集めた『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)で竹内が演じた海老原勝男は、頭に浮かんだ言葉をすぐ口にしてしまう男性だった。勝男は、他者から得た気づきを自分で言葉にし直すことで、新たな価値観を自分のものとして取り入れていく。竹内はその表情を通して、自分の言葉で自分を変えていく勝男の成長を見せてくれた。

勝男が成長し続ける主人公であったのに対し、淳一は立ち止まりながら周りに乱される主人公だ。誰もが応援したくなった憎めない勝男と、過去に縛られ葛藤し続ける愚かさも持つ淳一。竹内は昨期と今期で、大きく異なる魅力的な主人公像を見せている。

設定変更が功を奏している、ハマり役の江口のりこ

南良の掴めないキャラクターと裏に潜む思惑の謎を見事に表現する江口のりこ©テレビ朝日
南良の掴めないキャラクターと裏に潜む思惑の謎を見事に表現する江口のりこ©テレビ朝日

本作は、第56回江戸川乱歩賞を受賞した横関大の小説『再会』を原作としている。2012年にはフジテレビ系「土曜プレミアム」枠として一度ドラマ化されており、その際は淳一を江口洋介、万季子を常盤貴子が演じている。

原作・スペシャルドラマ版と今回のドラマ化で異なるのが、淳一とバディを組む南良が男性から女性へと設定変更されている点だ。男性主人公の上司を女性刑事に設定するのは、今の時代ならではといえるかもしれないが、何より、その南良を演じている江口のりこがぴったりと役にハマっている。江口が演じることにより、いつもは飄々とした態度を取りながらも、攻める時には攻めるギャップのあるキャラクターが際立ち、女性への設定変更に違和感を抱かせない。静かに懐に入り込み、いつの間にか真実を見つめている南良の独特の恐ろしさは、淳一を追い詰める役柄としてうってつけだ。

南良が、ただ淳一を追い詰める役柄として配置されているわけではないのも面白い。南良の掴めないキャラクターと裏に潜む思惑の謎は、江口だからこそ表現できていると言えるだろう。これ以上ないほどしっくりくるキャラクターだ。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS