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指針を活用して、当事者同士が対等に話し合う関係性へ
─実際にこの指針が出て約4ヶ月が過ぎましたが、実際に処分に至ったケースはありますか?
片岡:この指針は、音楽、放送番組の分野、つまりレコード会社や放送局との取引を念頭に置いており、関連の分野での動きになりますが、2025年12月9日に、ライブ配信プラットフォームで配信活動を行うライバーの事務所4社に対して、契約において移籍を禁止するなどの活動を制限する規定を設ける行為は独占禁止法違反につながる恐れがあるとして注意を出しました。

─この指針に書かれているようなことで悩んでいる場合、どこに相談すれば良いのでしょうか? 特に、移籍の際に育成などにかかった費用が回収できていないとして、金銭的な要求があった場合の合理的な金額の算定方法について、この中では具体的には触れられていません。
片岡:この指針に関連する問題やトラブルのご相談先として、文化庁の法律相談窓口(記事末に記載)をご紹介しています。この窓口では、専門的な知識・経験を有する弁護士にご対応いただいています。また、芸能事務所やレコード会社、放送事業者からのご相談についても、公正取引委員会などの窓口で対応をしています。揉めた場合は裁判などコストがかかる方法にはなってしまいますが、契約の締結に際してなど、問題が深刻化する前に早めにご相談いただき、ご相談結果も参考にしていただきながら、当事者の間でちゃんと話し合っていただくのが理想です。
─今後、この指針はどんなふうに活用されていくと思いますか?
森崎:普段は自分にトラブルなんて起きないと思っている方も、取引適正化のための良い例と悪い例が指針の中に併記されていますから、それを読むだけでもこういうことが起こりうるんだという知識を得られると思います。

森崎:ただ一点、指針だけの問題ではないのですが、そもそも契約がいつから始まるのかについて一般的な合意がない点は課題です。まだまだ、ふわっとしている実態を鑑みると、この取り組みは継続的なフォローアップが必要だと思います。一方で、全体としては芸能界の「基準」ができたと思います。ルールができたからといって萎縮するのではなく、むしろ取引が適正化されることで、業界がグローバルな基準を満たし、日本が真の「コンテンツ大国」を目指す大きなチャンスになると思います。
片岡:この指針は参考となる事例を交えて書いてあります。芸能事務所やレコード会社、放送局などは参考にしていただいてぜひ積極的に契約書を書面で作るなど、改善に取り組んでいただきたいです。それと実演家として芸能界で仕事をしていらっしゃる皆さんも、自分ごととして指針の概要などを見て勉強していただけたらと思います。これを活用して、お互いにもっと話し合って良い関係を作っていってほしいと考えています。
公正取引委員会 Information
◾️「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」の公表について(公正取引委員会)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/sep/250930_geinoushishin.html
◾️芸能事務所等との契約や自らが受ける行為についてお悩みの実演家等の方へ(公正取引委員会)
https://share.google/j2fnHnOGVU548xkHq
■文化芸術活動に関する法律相談窓口(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/madoguchi/index.html
◾️公正取引委員会公式サイト:https://www.jftc.go.jp/
一般社団法人日本芸能従事者協会Information
◾️専修大学法学研究所共催シンポジウム「芸能従事者の働き方と法3」
テーマ:「芸能従事者の働き方と法3 公取委の指針改正安衛法でどう変わるか」
日 時:2026年2月17日(火)17時〜19時
場 所:専修大学神田キャンパス10号館3階黒門ホール/同時オンライン配信
入場料:無料
申込み:こちらのサイトからお申し込みください。
https://44awj.peatix.com
主 催:専修大学法学研究所、一般社団法人日本芸能従事者協会
https://artsworkers.jp/news/2-17-2/