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続けることを目標とせず、リスクを引き受ける。五味岳久の生き方

ーLOSTAGEにとっては、そうやって続けていくこと自体が大事で、幸福なことなんだろうなと勝手に思っていたんですけど、映画の冒頭で五味さんは「続けることを目標にするのは違う」とおっしゃっていて。その意図を知りたいです。
五味:続けるためにやらないといけないことって別にあるんで、そればかり見ていると本当にやらないといけないこととかが見えにくくなると思ってて。
続いていたらいいなとは思うんですけど、ある日突然終わったり、自分の力ではどうにもならないこととかもたくさんある。その瞬間瞬間を紡いでいくことって、遠くを見てたらできないし、気づいたら続いてたとか、振り返ったら道ができていたってことの繰り返しだと思う。
―先行きが見えない不安、不確かな状況で、続けることをひとつの答えとしてもいいように思いますが、そうはしないわけですよね。
五味:「前に何もない」ってことを自覚してやらないといけないと思っています。自分たちの道を作るために常に耕す作業をしているというか。目標は前にあるもので、「続く」は後ろにあるもんやから。僕は前を見続けたいんです。あの発言が冒頭に来てるってことは、多分そこに監督も引っかかったからだ思うんですけど。

―「結果的に続いていて、それがかっこよかったらいい」とも五味さんはおっしゃっていました。五味さんの言うかっこいいとはどういう感覚ですか?
五味:俺にとっては、信じられる自分であり続けるってことですね。僕がいいと思うことがみんなにとってよくないことの可能性だって全然あるけど、別にそれでいいし、みんなが自分を信じられるようになれば、それでいいと思う。自分はそうやって選んできたから。
ー今の話もそうですし、誰かのせいにも、状況のせいにもせず、自分で自分の道を決めてリスクを引き受ける五味さんの生き方は映画を観てもすごく感じました。それは自覚されているところですか?
五味:そういう気持ちでいつもやってます。生き方とか価値観の話として、リスクを取らないと勝てないって感覚が結構あるんです。
バンドのやり方も正攻法みたいなものが掴めたらすぐ飽きて終わると思う。次はこうやったほうが自分的にも楽しいっていうのもそうだし、ミスったらヤバいなみたいなリスクもやっぱりあったほうがいい。それが音楽続けるため以外にやらないといけないことで、そうやってその都度テコ入れするみたいな感覚はあります。飽きたら終わりなんで。

ー五味さんの価値観、考え方、バンドの状況と、手売りと通販だけで音源を売るってやり方は切り離しがたいというのがよくわかります。だからこそ、その後に続く人たちがそのまま真似しても、「メジャーデビューして武道館目指そう」みたいな既存のやり方と図式は変わらない。個人的に、この映画には、LOSTAGEをロールモデルとして提示する意図がないところがすごくいいなと思いました。
五味:俺たちをもてはやして、「こういうふうにやればいいんだ!」みたいな映画を作りたいわけじゃないって監督も言ってました。だからずっと過剰に盛ってない。監督自体はサブスクとかもやったほうがいいっていうタイプなんですよ。僕らのやり方を全部全肯定しているわけでもないけど、ドキュメントとして見せたいバンド像があるから向き合って作ったって言ってくれてましたね。
監督は元々ずっと友達で、その目線で「お前の言いたいことってこれやろ?」みたいな感じで作品にまとめてくれたんです。ただ僕らはバンドをやっていただけ。でもよかったです。さっき完成版を観たんですけど演奏シーンの音も仕上がっていて、すごくよかった。必要としている人はいると思います。全然必要としてない人もいっぱいいるでしょうけどね。

『A DOCUMENTARY FILM OF LOSTAGE -ひかりのまち、わたしたちの-』

2026年1月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開
出演:LOSTAGE
監督:MINORxU
配給:MomentumLabo.
上映時間:110分
©2026映画「LOSTAGE」製作委員会
オフィシャルサイト:https://lostage-film.jp/