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LOSTAGEインタビュー なぜ手売り、通販のみで音楽を届けることにこだわるのか

2026.1.6

#MUSIC

数の論理に音楽が絡め取られる現状への違和感

ーこのドキュメンタリーは、「音楽をどう届けるのか」というのがひとつのテーマになっています。本作にあるLOSTAGEの活動を見ていると、例えばストリーミングやYouTube、SNSで価値が数字によって可視化された気になって、多いほうが優れているという前提で社会が動いていることへの違和感を否応なく感じさせられました。

映画『A DOCUMENTARY FILM OF LOSTAGE -ひかりのまち、わたしたちの-』予告編

五味:世の中もそういう仕組みじゃないと安定しないし、数字で決められていくこと自体に抗うのって難しいというか無理で。とはいえ僕も数値で何でも決められることにはすごい違和感ありますよ。多いほうがいいって前提で数え出すしんどさもある。

―「なんで多くの人に聴いてもらったほうがいいのか、ってところで答えが出てない」とも映画で話されていました。

五味:例えば3回しか聴かれてない曲はよくないのかって言われたら、その3回がどういう気持ちで聴かれたかわかんないじゃないですか。CD一枚の重みを置き去りにされて、誰がどう聴いているか関係なく、バズったほうがいいっていうのはやっぱ気持ち悪いなと思う。

世の中がどんどんおかしくなっていて、同じ土俵にみんな上がっていく。違和感を感じながら、でも世の中こういうものかみたいな感じで数字の取り合いみたいなゲームに参加する。それで勝った、負けたは音楽の話じゃないとわかっていたとしても、自分の番が回ってきたら、「サイコロ振らなあかん?」みたいなしんどさをすごく感じるし。別にCDを手売りするのが答えじゃないにしろ、もっと別なやり方を考えたほうが健全じゃないかって思う。

ー五味さんの言う「気持ちの交換」はなんらかの形でストリーミングにもあるにせよ、音楽の聴かれ方も変化して、「音楽の良し悪し」が数の論理で絡め取られてしまう状況は一層加速していますよね。

五味:たまにバンドやっている若い子が、僕らみたいなやり方を踏襲してやるって言葉にして持ってきてくれることがあるんです。「CDを作りました」「どうやって広げていったらいいか悩んでるんですけど」って感じで店(※)に来ることもあるし。

それは自分たちのことを見てくれているのがわかるからすごく嬉しいですけど、無名のバンドが音楽を広げていくのってすごく難しいから、ストリーミングは絶対やったほうがいいって伝えてて。僕に聞きに来ている以上、求められている答えじゃないと思うんですけど。

※五味岳久が奈良で営むレコードショップ「THROAT RECORDS」のこと

五味:僕らと同じやり方ではやれないと思うし、やる意味もない。例えば今自分が18歳でバンドやり始めたら、すぐにサブスクで聴けるようにするし、すごい勢いでいっぱい曲を出すかもしれないし。

映画になる前から思っていたのは、僕らのやり方を模倣するよりは、考え方の応用をやってくれたらいいのになってことで。僕に相談してこうやったらいいって言われてそれをやっても何も生まれないし、映画を観た人にはそこがうまく伝わったらいいなと思います。

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