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「音楽が売りものになるよりもっと前の状態に近づきたい」
ー嘘、エンタメ、夢、物語、言い方はいろいろあると思うんですが、音楽という売りようのないものを売るための何かを共有するのに、五味さんはどんなこと意識するものですか?
五味:僕らにとっては規模感とか距離感ですね。顔が見えるとか、手が届くとかって言い方をしますけど、それって「これはダメやな」とか、「これってアートやな」ってお互いにわかり合える距離感というか。
ドームに何万人動員とか、CDが何万枚とか売れたとか、再生回数何億回とか、それが悪いとは思わないですけど、顔も何も見えへん、数字でしか人間をカウントできない状況だと、価値観を共有するのは難しいと思うんです。

―その距離感や規模感自体がLOSTAGEとその音楽を担保している。
五味:ある距離感で価値観をちゃんと共有できていたら、間に金銭のやりとりがあっても、わかり合ってやれるんじゃないかって気がする。自分にとってはそういう気持ちの交換とか、コミュニケーション的な側面が大きくて。
音楽って呼ばれる前の何かがあったと思うんですよ。「俺はこう思う」とか、「俺はここにいます」とか、そういうものにメロディーとリズムがくっついているだけの状態というか。「気づいたら手叩いてた」みたいな、音楽が売りものになるよりもっと前の状態に近づきたい感覚はあります。それを売っている矛盾はあったとしても、音楽がそういうものであったってことを忘れたくないし、感覚的にそっちのほうを向いておきたい。
バンドを始めときもコミュニケーションというか、遊びの延長で。同じ学年で楽器を演奏できる友達を探して、好きな音楽の話とかして、お小遣いでスタジオ入ってみたいな感じだったし。それは今も変わってなくて、週末集まって麻雀やるみたいな感覚でLOSTAGEも続いてる。ほんまにコミュニケーションの一環で始まって、今もそれが続いていて、音楽というか、みんなに聴いてもらえる何かが運よくできあがっている感じがします。