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RADWIMPS・野田洋次郎の「作詞」を考察。歌詞集『RADWIMPS論』から紐解く生と死

2025.12.26

#BOOK

“有心論”で気づく、音と意味の追いかけっこ

僕は両極を忙しなく動いている。人類史上最高の幸福と世界史上最悪の絶望を、何度も行き来している。だからRADWIMPSの言葉もひたすら両極へ動いている。

野田洋次郎の歌は情報量が多い。言葉数が多い。メロディは同じでも歌詞はどんどん変わる。サビの歌詞も簡単には繰り返さない。言葉の洪水を、聴き手の脳は受け止める。故に、音に対して言葉の意味を取るのが遅れる。

“有心論”サビの、8分音符で畳みかけるこのフレーズ。

君があまりにも綺麗に泣くから

僕は思わず横で笑ったよすると君もつられて笑うから

僕は嬉しくて泣く 泣く

RADWIMPS “有心論”

君が泣く→僕が笑う→君が笑う→僕が泣くという「僕 / 君」「泣く /笑う」の順列、組み合わせのような行為の連続を、僕たちは素早く流れる音を聴いてからコンマ1秒、あるいはそれ以上遅れて理解する。「泣く」「泣く」と繰り返すときの遅延によって、やっと脳が追いつく。音の把握と言葉の把握とのズレが途中で一致する。その追いかけっこの快感によって、僕らはRADWIMPSから耳を離せなくなる。

明日を呪う人間不信者は

明日を夢見る人間信者に

もう昨日を探してた僕はいない いない

RADWIMPS “有心論”

不信と信が韻律を伴って入れ替わる。2番のサビでは、君の存在と不在が入れ替わる。

誰も端っこで泣かないようにと

君は地球を丸くしたんだろう?

だから君に会えないと僕は

隅っこを探して泣く 泣く

誰も命無駄にしないようにと

君は命に終わり作ったよ

だから君がいないその時は

僕は息を止め 待つ

するとね君は いつでもここに 

来てくれたのに もうここにいない

RADWIMPS “有心論”

泣いたと思ったら笑い、笑ったと思ったら泣く。不信から信へ、信から不信へ。君の不在から存在へ、存在から不在へ。2つの極への性急な移動という点で、“有心論”ほどRADWIMPSを表している曲はない。

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