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岡田拓郎インタビュー 「日本人が黒人音楽を演奏すること」への逡巡と「アフロ民藝」

2025.12.19

#MUSIC

1970年前後の日本のジャズへの関心

―アルバムには、日本のジャズドラマー石川晶のカバー“Love”(筆者注:作曲者はピアニストの鈴木宏昌)も収められていますが、なぜこの曲を取り上げようと思ったんでしょうか?

岡田:シアスターの展示に出会うちょっと前くらいから、1970年前後の日本のジャズで行われていた色々な試みに強い関心を持つようになったことと関係しています。その頃、高円寺のレコード店UNIVERSOUNDSに初めて行って、店主の尾川雄介さんにスピリチュアルジャズや日本のジャズのことを伺ったりしてました。

―その時代の日本のジャズは、国外の動きと連動するように、アメリカに限らず第三世界の音楽からの影響が出てきたり、様々な非西洋的要素が取り入れられるようになった時期ですよね。

岡田:そうですね。フリージャズの実験が行き着くところまで行ったこととも並行して、原初的な意味におけるクロスオーバーの流れと共鳴するようなレコードが結構あって。ジャズを遡る過程としてアフロ的な要素を取り入れたものがあるかと思えば、自国の――つまり日本のフォークロアにアプローチしていくものもあったり。

―例えば、尺八奏者の山本邦山が菊地雅章トリオと共演した『銀界』のような?

岡田:イージーリスニング的なジャズの演奏の上にただ和楽器が乗っているだけみたいなのもわりとあって、それも嫌いではないんですけど、『銀界』は完全にその先に行っていますよね。いつの時代に聴いても素晴らしいレコードです。その後1970年代にECMが異文化圏の奏者同士の共演盤を積極的に制作していますけど、そういうレコードの先駆形という気もします。かたや石川晶は和レアグルーヴとかの文脈で語られることが多いし、ジャズロック的な作品も多いと思うんですが、取り上げた“Love”には特別な響きを感じました。当時の人脈をみていくと、結構クロスオーバーしている部分も見えてくるんですよね。だから、自分の中ではどちらの実践も好きだし、自らの音楽的、文化的なルーツみたいなものを見つめるまなざしのあり方はそこまで隔たっていないようにも感じていて。

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