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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『すみだ五彩の芸術祭』初開催。墨田区とアートの深い関係をディレクター陣が解説

2025.12.17

『すみだ五彩の芸術祭』

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野外卓球台から巨大紙相撲まで。「公募プロジェクト」の懐深さを解説

―地域資源にフォーカスするという意味では、『すみゆめ』の流れを引き継いでいる「公募プロジェクト」が今回の目玉の一つと言えそうですね。

荻原:芸術祭をやるとなって、いろんな人から「『すみゆめ』は終わっちゃうの?」と聞かれたんですが、これまで『すみゆめ』で培ったものを活かしながら、しっかりと公募プロジェクトを担っていくつもりです。

2025年のすみゆめでは、たとえばリーマンサット・プロジェクトの「隅田川のほとり、宇宙の旋律を聴く」がユニークでした。宇宙開発に携わりたいサラリーマンのチームが手のひらサイズの人工衛星「ハモるん」を打ち上げて、宇宙で出合った星座をテーマに音楽を作曲するんです。「ハモるん」が宇宙でつくった曲を、地域の掲示板や飲食店などで聴けるという企画。なぜこのプロジェクトが墨田と関係するのかと言うと、葛飾北斎が北極星を信仰する「妙見信仰」に篤い人だったからとの解釈で、そのため北斎ゆかりの場所で聴けるようにしたそうです。

―卓球台を墨田のまちなかに設置する「ピンポンプラッツ 2025」も印象的です。

荻原:PPPコレクティブによる「ピンポンプラッツ」は2025年で3年目。1年目は普通の卓球台をまちのあちこちに持っていってプレイしていましたが、年々ブラッシュアップされて、いまはアーティストのジャコモ・ザガネッリがデザインした卓球台になっています。先日は「商店街リーグ」と銘打って、いろんなお店の方々がピンポンで勝負をしましたよ。

PPPコレクティブ「ピンポンプラッツ 2025」(2025年)
卓球台を屋外空間に設置することで多様な人たちが交差し、様々な現象が起こる仕掛けを創出するアートプロジェクト。すみだのまちに設置された卓球台を中心に、京島界隈で展開される日常の風景を演出とともに映像作品として記録。完成した作品を各所にて上映。

神野:卓球台が京島の「キラキラ橘商店街」の空き地に常設されていて。とにかく『すみゆめ』は多角的なトライをしていますよね。

ハイドロブラスト『地域住民らと創るドキュメンタリー映画「煙突清掃人」』(2024年)
江戸時代より続いてきた銭湯文化に関わる職人たちの技術を伝承すべく、国内でも減っている「煙突清掃人」を取材し、その手仕事を軸に銭湯文化の日常を描くドキュメンタリー映画製作するプロジェクト。 / ©一般社団法人ハイドロブラスト
SPUTNIK『すみだみらいアーティストプロジェクトVol.1「Hawk’s eye -北斎の見た世界-』(2024年)
子どもたちを対象とした舞台創作プログラム。第一回は15名の「みらいアーティスト」が参加、プロのアーティストと共に北斎の”花鳥画”をテーマにした作品に挑み、森羅万象様々な現象、動物、草花を言葉を用いた身体表現で舞台上に表出させた。
ONA project room『汽水域/Kisuiiki』(2022年)
4人の女性作家による個展を開催。絵師としても北斎の作品に関わった葛飾北斎の娘「葛飾応為」の人生と作品を見つめた。

荻原:主催事業もやっていて、KOSUGE1-16の土谷享さんによる毎年恒例のプロジェクトが「どんどこ!巨大紙相撲」。ダンボールで身長180㎝の力士をつくって技と個性を競う大人気企画です。ワークショップを「巡業」と呼んで、相撲部屋に見立てた区内4つのスペースでオリジナルの力士をつくります。32体の力士が集う「本場所」(曳舟文化センター・ホール)で、みんなで土俵を叩きながら最強力士を決めるんです(笑)。

KOSUGE1-16『どんどこ!巨大紙相撲』 / 撮影:427FOTO

―おもしろそうですね! そんな『すみゆめ』ですが、2026年の『すみだ五彩の芸術祭』では、とくにどんなアートやプロジェクトを募ってるんですか?

荻原:墨田の地域資源に与するものであれば、美術や音楽、演劇、ダンス、文学などジャンルは問いません。新たな視点で墨田の魅力を引き出し、まちや人と関わりながら発想を深めて、公演や展示、アートプロジェクトなどの企画を練っていただきたいです。多彩な表現が集うことで異なる価値観と出合ったり、気づきや発見があったり、さまざまなつながりが生まれるといいなと思っています。

助成金としても比較的使いやすいはずです。金額の上限はありますが、よくある支出の2分の1を助成するタイプではなく、対象経費の範囲であれば助成しますし、プロジェクトに従事するスタッフ経費なども賄えます。もちろん、他の助成金や協賛金などと組み合わせて、事業規模を大きくすることも可能です。

また、事務局による伴走支援も特徴です。それぞれの企画が実現するよう、区の施設はじめ会場手配のサポートや、公園や河川など公共空間を使用する際の許認可手続き、照明 / 音響などテクニカル面での相談にも応じています。広報面でも、区内の文化施設や小中学校にチラシを送るとか、SNSで個々の企画について情報を発信しています。

さらに、月1回「寄合(よりあい)」を行います。これは人的ネットワークをつくってもらうのが目的で、採択企画の団体や地域の方々が集まって、いろんな悩みごとを共有したり相談したり、情報交換できる場を用意しています。

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