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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『すみだ五彩の芸術祭』初開催。墨田区とアートの深い関係をディレクター陣が解説

2025.12.17

『すみだ五彩の芸術祭』

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「隅田川」と「北斎」だけではない。墨田の豊かな文化資源を活用する芸術祭

―既存のジャンルでは取りこぼされるような表現もすくい上げていこうと。また、本芸術祭は「すべての人が真ん中」と掲げていますよね。

荻原:そうですね。「ウチの庭先で何かやってるのよ」みたいな、市民の日常生活と地続きにアートがあるという認識です。アサヒや『すみゆめ』でもその感覚は大事にしてきましたし、やっぱり墨田にすごくフィットする。なのでこの芸術祭、私は墨田のコミュニティに根差してやるものだよなと思っています。

また『すみだ五彩の芸術祭〈公募プロジェクト〉』では、いままでこだわってきた「隅田川」と「北斎」という縛りを取っ払って、より多彩な地域資源にアプローチしてくださいと謳っています。もちろんこれまで上記の2大資源にチャレンジしてきた経緯は重要ですが、墨田の地域資源ってもっと豊富。だいたい地域のおじちゃんおばちゃんが本当にすごい人たちなんですよ。とんでもない技術を持っていたり、歴史を背負っていたりする。「ものづくりのまち」で職人さんも多いし、「私、在原業平(※)の子孫です」とか(笑)。そういう方々が「真ん中」にいらして形づくってきた地域や人、歴史のおもしろさをアーティストと一緒に見つけ出したいんです。

※平安時代前期の歌人で、六歌仙の一人。『伊勢物語』の主人公のモデルで、旅の途中の隅田川で「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしや」と詠んだ。

『すみだ五彩の芸術祭〈公募プロジェクト〉』詳細はこちら

―いまや多くの地域芸術祭が市民参加や「市民が主役」というテーマを打ち出していると思いますが、そのなかで『すみだ五彩の芸術祭』ならではと言える要素はありますか?

神野:僕らとしては都市型の芸術祭でありながら地域資源に焦点を当てるという二重性を打ち出したい。たとえば地方の農村部で行われる芸術祭であれば、過疎化したエリアに稀人としてアーティストが訪れ、「これっておもしろくないですか?」と資源を発見していくプロセスがアート作品になっていきますよね。墨田はそういう資源に満ち溢れた場でもあるので、都市にありながら地方型の芸術祭を目指したい。でも墨田の場合、そういう類のリサーチはある意味やり尽くされている(笑)。そのうえで、アーティストにはそこからさらに自分なりのスケールや切り口を見出してほしいんです。それがすでに墨田で活動している人たちにも刺激になってほしい。

たとえば本芸術祭のディレクターの一人である青木彬さんは、地域福祉とアートをテーマに墨田区の福祉施設「興望館」で展覧会『共に在るところから』(2022年)を開催しました。すでに分厚い歴史のあるところに、アーティストたちが関わってその資源をより豊かにしていく。それはすごくヘビーなチャレンジかもしれません。でもそういう歴史と地続きな試みこそが、未来につながる真っ当なアプローチだと思います。

地域福祉とアートの繋がりを考える展覧会『共に在るところから/With People, Not For People』(2022年度)

神野:墨田区長は「芸術祭は単なるお祭りではなく、これからの墨田区の未来につながるものにしたい」とよく発言されています。墨田区のシンボルマークは「人」という字からできているんですが、実際に関わってみると、本当に「人」が墨田の魅力であり、力だと感じますね。

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