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矛盾や狂気を体現してきた佐藤二朗を日本中に伝播させる作品に
さらに、佐藤二朗自身も「自分の役者人生をかけてやりたいと思うぐらいの企画」と前のめりで役に取り組んでおり、撮影時は毎日、頭を坊主頭に刈り上げており、10円ハゲも本物だという。
岡田翔太プロデューサーは実際に「二朗さん以外、スズキ役は考えられなかった。二朗さんにお断りされたらこの企画自体やめようと思っていた」とまで告白している。その意図は、明るいキャラクターのイメージも強い佐藤二朗が、『はるヲうるひと』(2019)や『さがす』(2022)などでは人間の持つ矛盾や狂気を体現してきた「こちら側の二朗さんの凄みを、日本中に伝播させたい」と使命感を握りしめたことにもあったそうだ(プレス資料より)。
実際に本作の予告編では「ギャグキャラではないサイコパスな佐藤二朗楽しみ」「佐藤二朗に狂わせたら1級品よ」などの期待が寄せられているが、実際の本編はそれ以上だ。佐藤二朗はあまりに個性が強い俳優の1人であり、それに伴っての劇中の極端な印象はある程度の賛否も呼ぶだろう。しかし、それも含めて絶対に忘れられない、良い意味で本当に嫌いになれそうな佐藤二朗が見られるのは間違いない