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「『自分を出す』って、出せれば自由だけど、気楽なことではないと思うんですよ。」(悦)
―今年出たシングルの“ツキナミちゃん”は、悦さんがセレナさんのことをイメージして書いた曲なんですよね。悦さんから見ると、セレナさんはどんなふうに見えているんですか?
悦:セレナとは、最近ようやく深いところで関われるようになってきた実感があって。元々はいい意味で普通の大学生の女の子というイメージだったんです。でも、実はセレナは、自分が周りと同じ温度感で生きていることを肯定できていないんじゃないか? と僕は感じていて。だから僕は「仲良くなりたい」と思ったんでしょうけど。バンドをやっていく中で、セレナの中にある「普通であること」をよしとしない部分が、だんだん大きくなっていったような気がするんですよね。
セレナ:そうなんだ(笑)。
悦:“ツキナミちゃん”はすごく端的に、セレナのことを肯定的に書けたと思います。セレナは「月並み」じゃないんです、全然。きっと人間誰しもが「普通でいなきゃ」みたいな圧力を勝手に感じながら、それでも「自分はこんな人間じゃない」「こんな窮屈に生きたくない」と思っているだろうし、そこから抜け出す瞬間を今か今かと探している気がする。でも、それが上手くいかないまま過ごしている人はたくさんいると思っていて。セレナの場合は、バンドをやることで、自分の野性みたいなものを上手に発揮できる手段を見つけられたんだと思う。だから、最近はすごく伸び伸びして見えるなって思います。

―セレナさんご自分ではどう思いますか?
セレナ:両親は私に対して「就職して、こういうふうに生きてほしい」という理想があったと思うんですけど、私自身は、昔からずっとどこかで「音楽を仕事にできればいいな」と思っていたりして。そう思うと、正直に生きたいけど、そうできてこなかった部分はあったのかなと思いますね。私は1度就職したんですけど、働いてみてなおさら思いました。やりたいことから逃げてきたし、そこに向き合えていなかったなって。2022年にバンドを始めたあと、2023年に仕事を辞めたんですけど、そこからは特に自分が変化している実感はありますね。いろんなことに正直になっている気がする。
―リュベンスは「自分でありたい」と思う人たちが集まったバンドなのかもな、と思いますね。
悦:ああ、そこは強めだと思います。
セレナ:Mary(Ba)とまつまる(Dr)も、好きなものや理想の自分が強くある人たちだからね。だから4人でいると、それがいい相乗効果になることもあるし、何を考えているかは、ちゃんと言葉にして話さないとわからないんだなって最近は思います。
悦:「自分を出す」って、出せれば自由だけど、気楽なことではないと思うんですよ。それに伴って新たな制約も生まれるし。自由でいるって、大変だと思う。でも、大変だとわかっていても、「自分が自分であること」を認めたい……そういう大きな欲求が、この4人のバンド活動になっているんじゃないかと思いますね。

 
           
           
           
           
           
           
       
           
       
           
       
           
       
           
       
           
       
           
       
           
       
           
           
           
           
           
           
           
          