メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

国内外で注目のリュベンスに取材 失うことの多い人生で受け入れながら生きること

2025.10.29

リュベンス『MELT』

#PR #MUSIC

こんなにも鮮やかに、かつ静かな情熱を持って、自分たちが生きる日々のリアリティや、その中で生まれる心象風景を音楽で表そうとするバンドがいること。それはとても尊くて、頼もしくて、希望に満ちたことだと思う。東京を拠点に活動する4ピースバンド、リュベンス。

スピッツやindigo la Endのような偉大な先達がそうであるように、多彩な音色のギターサウンドや豊かなリズムを操りながら、まるで絵を描くように美しく、激しく、ポップな楽曲を生み出す彼らの音楽は、今、日本のみならず世界中のリスナーからの注目を集めている。現時点での代表曲と言える“天使さん”を筆頭に、彼らの楽曲のミュージックビデオには日本国外のリスナーからのコメントも多数寄せられている。とても普遍的なものを、今、リュベンスは表現しえていることの証である。

そんなリュベンスが1stフルアルバムのタイトルに掲げた言葉は『MELT』。「溶ける」という意味のこの言葉は、彼らにとって忘我の境地への逃避を意味しているわけではない。むしろ、彼らは極めて現実的な意味合いで『MELT』という言葉を掲げた。時間は進んでいくということ。人は生まれたからには死に向かっていくということ。そして、私たちにはたしかに過去があるということ――そんな現実を浮き彫りにするために、リュベンスは流れてゆく時間、その姿を1作の音楽アルバムに刻んだ。このアルバムは、私たちに生の儚さを思い起こさせる。でも、それだけではない。このアルバムは私たちに、何が起こるか分からない未来に向けて、1歩足を踏み出すための勇気もまた思い出させる。

今回、バンドの発起人であり作詞作曲を手掛ける悦(Gt)と、バンドに素晴らしきチャームを与えているボーカリストのセレナ(Vo/Gt)がインタビューに応えてくれた。バンド前史の話から歌詞に込める思いなど、たくさんのことを語ってくれた。全身全霊で生きている、素晴らしい若きバンドの登場である。

「ただやってみたかった」それぞれの憧れから始まったロックバンド

―リュベンスというバンド名は、悦さんが大学で研究していた画家のルーベンスから来ているそうですね。リュベンスの音楽を聴いているとまるで絵画を見ているような感覚になることがあって。悦さんはご自分が惹かれるものや美しいと思うものを、音楽だけでなく絵画などにも見出してきたんですか?

悦:僕は絵も描くし、ジャケットも自分で描いているんですけど、なんなら元々は音楽をやりたかったというより、小学校に入る前くらいから「将来は絵を描くんだろうな」と思っていたんです。

地元は金沢なんですけど、地元の有名な美大に入って、その先の可能性を広げたいなって。そのくらい小さい頃から視覚的な芸術を能動的に受け取ろうとしてきたフシはありますね。音楽はあくまでも中学生とか高校生の思春期に出会ったものであって、自分にとって一番根源的な表現は絵だと思う。結局、大学は青山学院大学に入ったんですけど、そこでも比較芸術学科という、芸術にまつわることを勉強する学科に入って。なので、音楽よりも絵の方が昔からつかず離れずって感じですね。

リュベンス(左から:悦、セレナ、まつまる、Mary)
2022年に東京で結成。2023年4月からセレナ(Vo / Gt.)、悦(Gt)、Mary(Ba)、まつまる(Dr)による現メンバーで活動スタート。これまでに8枚のシングルと2枚のEPをリリース。昨年リリースしたシングル”天使さん”が国内外で一躍注目を集め、Music VideoはYouTubeで120万再生を突破。ライブにも定評があり、昨年12月のindigo la Endのオープニングアクトとして出演したLIQUIDROOMでのライブも話題に。今年1月の新代田FEVERでの初ワンマンもソールドアウトとなった。ニューウェイブ/ポストパンク的な新たな音楽性を提示した最新シングル”ツキナミちゃん”が話題となる中、10月から初の全国ツアーがスタート。初のフルアルバム『MELT』が10/29に配信リリース、11/5にタワーレコード限定CDとしてリリースされるなど、今後の活動に注目が集まる。

―では、絵への想いが極端に切り替わって音楽になったというわけではなく、今はその両方が同じベクトルで存在している感じなんですか?

悦:はい。絵と音楽って、アウトプットとしては違うものに見えるけど、僕の場合、やっている人は同じだし、感性とか美的感覚という部分では同じところから出てきている感じはします。さっき、曲を聴いて「絵を見ているような感覚になる」っておっしゃってくれたじゃないですか。そこは無意識的な部分もありつつ、半分くらいは自覚的にやっている部分でもあったので、そこを受け取ってもらえているんだなって今初めて実感しました(笑)。

悦(Gt)

―リュベンスの曲を聴いてそう感じている人は多いんじゃないかなと思いますね。半分くらい自覚的だったというのは、リュベンスを始めた頃からですか?

悦:いや、結成した最初の頃は何かを深く考えていたわけでもなかったです(笑)。メンバー間で音楽性の核になるものを共有していたわけでもなく、大学の軽音サークルで集まったみんなでバンドを始めたら、段々と固まっていったという。1枚目のEPの『ripple』に入っている“白光線”が人生で初めて作った曲なんですけど、そのまま世に出ているのが恥ずかしいくらいで(笑)。

―セレナさんから見ると、悦さんはどんな人だなと感じます?

セレナ:めちゃくちゃ素直な人だと思います(笑)。少年っぽい感じ。曲にも表れているけど、変な衒いがないんです。普段話していても言葉に嘘がないと感じるし。シンプルに「いいな」と思うものを言語化したり、他のものに落とし込む力が凄いんですよね。

セレナ(Vo / Gt)

―おふたりはバンドをどうして始めようと思ったんですか?

悦:僕は、ただやってみたかったんです(笑)。自分が弾ける楽器がギターだけだったし、サークルで集まったみんなが体で分かることをやろうと思ったら、ロックバンドだったという感じですね。僕の音楽の原体験がスピッツなので、自然と「音楽=バンド」という感覚もあったのかもしれないです。

セレナ:私は小学生くらいの頃からJUDY AND MARYが好きで、バンドへの憧れがずっとありました。ただ、実際にバンドをできる環境はなくて、どちらかというと小さい頃から1人でできることばかりやっていたんです。習い事もピアノやバイオリンだったし、大学2年生の頃にコロナが流行り出したんですけど、そのときは、家で1人で弾き語りをやっていて。そういうのもあって、無意識的にでも集団で何かをやることへの憧れは強まっていた気はするんですよね。悦がメンバーを集めたんですけど、バンドに誘われたときは「やっとバンドができる!」と思って嬉しかったです(笑)。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS