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ただのスポ根ドラマではなかった。『下剋上球児』が2023年に放送された意義

2023.12.15

#MOVIE

演技と野球の実技オーディションで「下剋上」した俳優たち

制作陣だけでなく、出演者たちも、まさに「下剋上」と呼べる抜擢が行われている。鈴木亮平や黒木華、井川遥など数多くのドラマや映画に出演する豪華キャストを見ると流石の日曜劇場と思わされるが、高校球児を演じる俳優たちには、ドラマ好きといえども見覚えがない俳優が多いだろう。それもそのはず、彼らは「下剋上セレクション」という約半年間の演技と野球の実技オーディションを経て選ばれた俳優たちなのだ。野球の実技オーディションを行ったのは本作ならではで、オーディションを勝ち抜いて選ばれた越山高校野球部メンバーたちーー楡伸次郎(にれい しんじろう)役の生田俊平は高校野球の名門・青森山田高校出身で甲子園出場経験を持ち、藤本大牙(ふじもと たいが)役の鈴木敦也は名門・作新学院野球部出身など、高校野球経験者も多い。実際に彼らが試合シーンで見せるプレーはリアルそのもので、本作の大きな見どころの一つとなっている。

楡伸次郎役の生田俊平©TBSスパークル/TBS 撮影:Len
楡伸次郎役の生田俊平©TBSスパークル/TBS 撮影:Len
藤本大牙役の鈴木敦也©TBSスパークル/TBS 撮影:Len
藤本大牙役の鈴木敦也©TBSスパークル/TBS 撮影:Len

最終回を迎え、いよいよ甲子園出場まであと僅かとなっているが、その主役たる彼らのオーディション風景は『下剋上セレクション 完全版』としてU-NEXTで配信されているので、気になった人は是非、見てみて欲しい。スポーツにおいて練習風景を見ると試合における思い入れが増すのと同様に、ザン高(越山高校)野球部メンバーを演じる彼らに対する思い入れが増すに間違いない。

©TBSスパークル/TBS
©TBSスパークル/TBS

また、主演の鈴木亮平や黒木華も決して順風満帆なキャリアを送ってきた訳ではない。鈴木亮平は、芸能事務所・制作会社50社以上に履歴書を持ち込んだが断られた経験の持ち主で、2006年にテレビドラマ『レガッタ~君といた永遠~』(テレビ朝日系)で俳優デビュー以降、映画やドラマに出続けていたものの、認知を広げた『HK 変態仮面』(2013年)まで7年、連続テレビ小説『花子とアン』(2014年 / NHK)でブレイクするまで8年かかっている苦労人。

黒木華も、高校演劇の名門・追手門学院高等学校の演劇部で1年生から3年間、主役を務め続けた高校演劇のエリートながら、進学した京都造形芸術大学では学内製作の作品にキャスティングの声がかからず。演劇ワークショップを経て初舞台後、オーディションでヒロイン役を勝ち取り、その後、数々の演劇作品への出演を経た後に2011年から映像作品に進出するなど、一歩一歩キャリアを進めてきた俳優だ(ちなみに、鈴木亮平とは、大河ドラマ『西郷どん』(2018年 / NHK)で夫婦役だったので、西郷どんファンには嬉しい共演だった)。鈴木亮平は過去に『TOKYO MER~走る緊急救命室~』で日曜劇場の主演経験があるとは言え、10年前に2人の主演での日曜劇場を予想出来た人はいないだろう。その点でも「下剋上」と言えるかもしれない。

南雲脩司役の鈴木亮平©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO
南雲脩司役の鈴木亮平©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO
山住香南子役の黒木華©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO
山住香南子役の黒木華©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO

いよいよ9回(第9話)を終えて延長戦(決勝戦)に進む『下剋上球児』。実話が元になっているからこそ、結果は決まっているし、日曜劇場の前作『VIVANT』のような大きなサプライズは無いかもしれない。しかし、一歩ずつ「下剋上」に向かっていく彼らの姿を決して忘れないだろう。燃え尽きられるなら何も悔いはないさ。

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