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カメラがきっかけで古道の魅力を知る
Celeina:そしてそこから古道を調査研究として観察されるようになったんですよね。
タカノ:古い道と書いて古道ですね。
荻窪:デジタルカメラの記事を書くようになって、写真を撮りに行くようになったんですよ。自転車で幹線道路を走っていると、どう見ても体に悪い黒い煙を出してる軽トラックが前を走ってたりとかして。それを避けるために裏道とか旧道とかを走っているうちに、凄く走りやすくて風情のある道がいっぱいあるっていうことに気づいたんです。図書館とかで調べてみると、これが実は鎌倉街道だったとか色々な発見があって、これは面白いと思って。

タカノ:どこにきっかけがあるかわからないですね。
荻窪:人には全然違うことやってるように思われるんですけど、自分の中では繋がってるんですよね。
Celeina:まさに点と点が繋がって線になっていますよね。
荻窪:自転車に一番ハマっていたときは、六本木で打ち合わせだってなったら絶対に自転車で来てたんですよ。すると、走りやすい道、走りにくい道、走りたくない道とかいっぱいあるじゃないですか。こうしてどんどん面白くなるんです。
Celeina:荻窪さんは今も自転車に乗られていますか?
荻窪:昔ほど体力がないので長距離は乗れないですけど。最近は電動アシストの方にはまっています。
Celeina:今日はスタジオにたくさん本をお持ちいただいていて。
荻窪:はい。一番新しいものが、教科書で有名な山川出版社から出た、『古地図と地形図で発見!鎌倉街道伝承を歩く』っていうもので。東京・神奈川に残る鎌倉時代からある古道を実際に歩いて、平安時代とか鎌倉時代にあった鎌倉の道についても書きました。『鎌倉殿の13人』に合わせて春に売ればいけるぞって言っていたら私の原稿が遅れちゃって(笑)。『江戸・東京 古道を歩く:古地図と地形図で発見!』っていう本では、東京に残る古い道を、江戸時代の地図と見比べながら歩いたり、『東京「多叉路」散歩 交差点に古道の名残をさぐる』は、複雑な交差点を探求するという本ですね。
Celeina:多叉路(たさろ)ってなんですか?
荻窪:そう、多叉路って一発変換ができなくて、そんなに知られてない言葉なんだとびっくりしちゃったぐらいで。
タカノ:交差点で道が五つにわかれてたりとか。この表紙のが七叉路で七つにわかれてるんですよ。
Celeina:東京にこんなところがあるんですね!
荻窪:普通に考えたら事故が起きやすいし、使いにくいしで絶対に作らないじゃないですか。でも昔用水路だったところが道になったり、古い道が交差しているとこに新しい道を作ったらちょうどかぶっちゃったりで、やっぱり歴史的経緯があるんですよ。
タカノ:面白い! 表紙は大田区のどちらにあるんですか?
荻窪:蒲田と六郷の間で、第一京浜の1本東側にずれた道にあって「七辻」と呼ばれてます。
Celeina:リスナーさんは聞いててわかるのかな?
荻窪:大田区の方はみんな知ってると思いますよ。有名ですから。
Celeina:道にも歴史と理由があるってことですよね。
荻窪:東京って道路が多すぎて。その中で1本だけ古い道とかあったりすると凄く嬉しいんですよ。