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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

文筆家ワクサカソウヘイが、その辺の草を食べ、石を売り、磯で暮らした理由

2023.7.11

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

6月19日は、文筆家のワクサカソウヘイさんが出演。随筆やルポを主なフィールドとして執筆活動をされていて、お笑いコンビ「男性ブランコ」のコントライブなどの制作者や構成作家としても携わられているワクサカさんに、ご著書の『出セイカツ記』の裏話や、何の変哲もない石の売り方、磯での生活の仕方などについて伺いました。

そこら辺の草を食べることで気づいた不安の正体

Celeina(MC):簡単なプロフィールをご紹介させていただきます。1983年、東京生まれ、随筆やルポを主なフィールドとして執筆活動をされており、主な著書には『今日もひとり、ディズニーランドで』『夜の墓場で反省会』『男だけど、』『ふざける力』、合同会社「おばけ」の代表であり、お笑いコンビ、男性ブランコのコントライブなどの制作者や構成作家としても携わられていらっしゃいます。

タカノ(MC):本のタイトルがヤバいんですよ。『今日もひとり、ディズニーランドで』とか気になるのばかりで。基本的には、体験談ですか?

ワクサカ:体験談が多いですね。実験と冒険が自分のライフワークで、それをもとに書いた本が多いですね。

タカノ:ディズニーランドも、1人で行ってみて……?

ワクサカ:一応、私小説みたいな形なんですけど、ずっと1人でディズニーランドに行ってる時期があって、そのときの鬱々としたモラトリアムな日々を書いた小説です。

タカノ:『出セイカツ記』も読ませていただいて、震えております(笑)。衝撃的なね。

ワクサカ:ある種の人たちには、すごくハマっていただけますね(笑)。

タカノ:2022年の10月に出されて、やっぱり反響はすごかったですか?

ワクサカ:思ってた以上に、いろんな方に感想をいただいて、広がっている感じがしています。

タカノ:ワクサカさんは、不安を焚き木代わりに燃やして、エネルギーに変えてる感じもするんですよね。

ワクサカ:6~7年前ぐらいに調子が悪かったんですよ。生活不安とか少しひもじい思いとかもしていて。不安が多いと調子って悪くなっていくものじゃないですか。そのとき近所に住んでいるおばあちゃんのエツコさんっていう方が、草でも摘んで食べようかって仰って。

Celeina:本の冒頭にもありますよね。

ワクサカ:何を言ってるんだ? と思ったんですが、天ぷらとかにして食べてみたら、そこらへんにある草も美味しかったんですよ。生きていけるなと思って。困ったら、草を摘んで食べたら美味しいんだって思った瞬間に楽になったんですよね。少し調子が良くなっていって。だから、不安は、他者から与えられるばかりじゃなくて、実は、自分がかけてる呪いから発生しているんじゃないかと思ったんです。こうしなきゃいけないとか、草を食べちゃいけないとか、そういうのを1個ずつ解いていけば、調子がよくなってくんじゃないかと。そういうところから実験を始めたという感じですね。

タカノ:だから、すごく哲学的でもあるんですよ。

Celeina:エンタメでありながら哲学的なんですよね。

タカノ:地球をハックしている感覚というか、ビジネス書っぽさもあって、そこも面白いですよね。

Celeina:石を売るところとか、隣のブースのお姉さんからヒントを得るところとか、ビジネス本かって思いますよね。

タカノ:すごい面白いです。でも、実際に、石を売るとか、泥団子を作ってメルカリに出品するとか、思いついても行動に移すのって結構ハードルが高い気がするんですけど。

ワクサカ:これは、よく聞かれるんですけど、答えは簡単で、すごい暇だったからですね(笑)。

Celeina:でも、暇って、大体、不安に行っちゃうじゃないですか。暇から不安に行って、それを原動力に行動に移して、冒険したというのがワクサカさんのバイタリティの根底にある?

ワクサカ:どうなんですかね(笑)。

タカノ:1週間、磯で生活もしてるじゃないですか。

ワクサカ:浦島太郎の話を昔から聞いてて、竜宮城って羨ましいなって思うじゃないですか。亀を助けたぐらいで、お刺身サブスクみたいなもてなし。それを叶えてみたいっていうのもあって、磯に行けば、この竜宮城的な生活が待ってるかもしれないっていう仮定をもとに。

Celeina:なるほど。読んだときに、小さな疑問が浮かんだんですけど、お家の近くが海だったんですか?

ワクサカ:東京と鳥取で2拠点生活をやっていた頃の話なんですよ。コロナでストップしちゃったんですけど。

タカノ:鳥取の方で、環境的にも行きやすかった?

ワクサカ:そうです。半径5mの話です。畳1畳の冒険ですね。

タカノ:面白くて、質問も止まらないんですけれども、ここで1曲行きたいんですが、ワクサカさんに、この時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらいました。どんな曲でしょう?

ワクサカ:KIRINJIの“Drifter”という曲です。歌詞の中で「僕は逃げない」って歌詞が出てくるんですよね。不安とかも、逃げていいんだけど、最後は戻って対峙しなきゃいけないっていう。恐怖とか不安との向き合い方が、つづられてるような感じで、歌詞がとても好きです。

何の変哲もない石を売るにはどうするか

タカノ:本の中身を、もう少し掘り下げて話したいんですが、先ほど、石を売るみたいなお話もありましたけれども、どこでどういうふうに売ってたのか、聞いていいですか。

ワクサカ:はい。この『出セイカツ記』って本は、いろんな不安から逃れるために具体的な実験をしてくっていうことなんですけども、その中で、お金にまつわる不安から逃れるために石を売ってみようという時期があったんです。石が売れれば最高じゃないですか。無料ですから、一生、生きていけるじゃないですか。だから、ずっと石をポケットに忍ばせておいて、会った人とかに「ところで、石はいかがですか?」って。

Celeina:石のセールスマン(笑)。

ワクサカ:でも、やっぱり、それだと進捗が悪いので(笑)。近所のフリーマーケットに出店してみて、石1個100円で売れないかというのを試してみたところでの試行錯誤が書かれてる感じですね。

タカノ:石はどこで拾ったんですか?

ワクサカ:その辺の川とか海ですけど、一応、持った感じで良い石を選ぼうとは思って。

タカノ:良い石の基準がワクサカさん基準(笑)。

ワクサカ:良い石、ありますよ。スベスベしてたり、形が面白かったりとかいろいろ。それと同時に大事なのは、何の変哲もない石であるってことですね。

タカノ:でも実際に石が売れていくわけですよね。そこら辺はどういう工夫を?

ワクサカ:石を売ってるってなると「ん?」ってなるんですよ。そこで例えば、一緒に対話、コミュニケーションしたり。時には、バー形式でちょっとお酒で訳わからなくさせてってことも。石を売るためなら(笑)。

Celeina:ビジネス的にね。賢いですよ、ある意味(笑)。

ワクサカ:拡大解釈しちゃいけませんけどね。お酒を飲ませればいいってことではないです。

タカノ:でも、僕、そのシーンを読んだときに、酔わせてというよりは、何か新たな価値を一緒につけたんじゃないかなって感じたんですよ。だって、ウイスキーを飲みながら石を眺めることって、ある意味、石のデザインを眺めるためのお酒のおともみたいな。

ワクサカ:あと、僕が選んだ石っていうことが重要かもしれないですね。誰かが選んだ石を継承するみたいなところに、何か価値はあるんじゃないかなと。

Celeina:お酒を飲みながら話をして、ワクサカさんのことを知って、どういう石なのかっていうバックボーンを知った上で。

ワクサカ:どこで拾ったとか。だから、これは誰でもできます。

Celeina:いや、できるかな(笑)。

ワクサカ:僕は別に石の専門家でもないわけだから。

タカノ:いやでも、ワクサカさんは、石とか泥だんごを売ったりとかもされてるんですけど、日常生活の中で接しているモノの見方がちょっと変わってくるというか。

Celeina:確かに。当たり前を、もう1回考え直すという。

タカノ:ワクサカさん視点での世界の切り取り方を知ることによって、我々も違う見え方がしてくるっていうところが、すごい魅力的だなって、思ったんですよね。

ワクサカ:嬉しいです。

Celeina:ワクサカさん、最後に、この『出セイカツ記』をどんな人に読んでもらいたいですか?

ワクサカ:僕は自由業で、人よりも多分、不安が多いって思われがちな業種なんですけど、あらゆる人に同じような不安は絶対にあるはずなんですよね。なので、この本は、本当に全人類に読んでほしいって思ってます。

タカノ:人類代表として不安の言語化をしてくれたんで(笑)。

ワクサカ:人類で一番暇なやつとして、代わりにという感じです(笑)。

タカノ:皆さん、読みましょう。

Celeina:さあ「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介してもらっているんですが、ワクサカさんがご紹介してくださるのは、どんな方でしょうか?

ワクサカ:ママさんコーラス演劇「うたうははごころ」の代表をやってます菊川朝子さんです。

Celeina:どういったご関係なんですか。

ワクサカ:東京と鳥取で2拠点生活をやっていた時に鳥取で出会った友達です。彼女は今も東京と鳥取の2拠点でやっていて。ママさんコーラスをやってるんですけど、育児の悩みとか喜びをコーラスにして歌うっていう、すごい面白いことをされてます。

Celeina:ちなみに一言で表すと?

ワクサカ:「バイタリティの塊」。

タカノ:明日は、ママさんコーラス演劇「うたうははごころ」の代表、菊川朝子さんをお迎えします。

Celeina:文筆家のワクサカソウヘイさんでした。ありがとうございました。

ワクサカ:ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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