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エチオピアジャズのオリジネーターは健在
風間:日本に限らず、ここ2、3年のポップミュージックの中でボサノバ的な要素は結構目立っていて、有名どころだとピンク・パンサレスやビリー・アイリッシュもボサノバが入っている曲をやっていたりするし、上半期に挙げたメイ・シモネスとか、レイヴェイも意図的なボサノバからのオマージュを見せたりしていて。いろんな軸から盛り上がりが見えてくるんじゃないかなと思います。
もうひとつ、これはブラジルではないですが、ムラトゥ・アスタトゥケ(Mulatu Astatke)『Mulatu Plays Mulatu』が良かったですね。エチオピアジャズの巨匠といわれるミュージシャンなんですけど、自分のレパートリーを、カルロス・ニーニョ(Carlos Niño)やカブロン・ベリャナ(Kibrom Birhane)といったミュージシャンと一緒に、いまロンドンでもう1回録ったというアルバムです。現行のUKジャズあたりを聴いている人は難なく入れると思います。
風間:ムラトゥ・アスタトゥケは去年も『FESTIVAL FRUEZINHO』で来日してたりして、まだ全然元気なんですけど、ジャンル自体のオリジネーターが存命でバリバリ活躍しているジャンルって、もうほぼないと思うんです。簡単にいえば、レゲエでボブ・マーリーがまだ生きてるようなことなんですよ。すごいですよね。ブラジルで言うと、今年は本当に残念ながらエルメート・パスコアル、ロー・ボルジェスが亡くなりましたし……。
松島:なるほど、たしかにそうですね。