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桃山商事・清田隆之が語る、恋愛相談から学んだコミュニケーション論

2025.9.8

#OTHER

相談の裏側には快楽が潜んでいる

ー「いつの間にか気持ちよくなっちゃう」というのは、恋バナ収集の根本的な楽しさと表裏一体な気がします。いろんな人の話が聞けて面白い、それで結果的にその人が元気になったらうれしい、というところまではいいけれど、どこかで一線を越えると利己的な快楽になってしまうというか。

清田:そうですよね。「危うい楽しさ」は確かにあると思います。言い方が難しいところですけど、絶対にある。頼りにしてくれるし、他人に話せないような秘密も打ち明けてくれるわけじゃないですか。こちらの経験談とか意見も重く受け止めてくれるし。相談に乗る側って、すごく気持ちがいいポジションなんだと思います。利他的な行為だと思い込んでるけど、裏側にはそういう快楽が潜んでいる。だから、相手のためなのか自分のためなのか、区別がつかなくなっていく……これはけっこう怖いことですよね。

ー「危うい楽しさ」は、恋愛相談に限らずキーワードになりそうです。

清田:相談に乗るという行為には、構造的にそういう快楽への誘惑が付きまとうんでしょうね。特にズバッと系の相談コンテンツは顕著で、回答者がなんか気持ちよさそうじゃないですか(笑)。「本質を突いちゃうけど」みたいな感じで回答してるものの、おそらく相談者はそんなことすでに100万回くらい考えてるはずなんですよ。回答者の立場になったときは、そのことを肝に銘じといたほうが絶対にいい。相談者に気を遣わせちゃってるケースってかなり多いと思うんですよね。

ー人生相談は、回答者が相談者をケアしているイメージですけど、どこかの時点で逆転しちゃうという。

清田:こんな活動をしておきながら、自分自身は誰かに相談することが苦手で……。例えば洋服屋さんで試着すると、「ここまでさせてもらったんだから買わないと」って気持ちになっちゃうんですよね。誰かに相談するときも同じで、「せっかく親身になってくれてるんだし」って気持ちになり、「なるほど、それは気づかなかった」「今度試してみる!」とか言って、謎の気遣いをしちゃうことがよくある。自分の中にそういう感覚があるのも、ひたすら話を聞くスタイルになった理由の一つかもしれない。まずは「ポッと出の他人が、相談者のことを本人以上に知ってるわけがない」という前提に立つことが大事ではないかと考えています。

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