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「人の調子聞いてばっかり」はつらい？
マキダシ：テクニックというわけではないんですけど、僕は話を聞く時に自分の率直な感想を挟むようにしてます。医者になる前からやっていたことなんですけど、ちゃんと聞いているということが相手に伝わると思うんですよね。
ー共感とは違うんですかね？
マキダシ：紋切り型の共感は、僕はあまりしないですね。そっちの方が医師のスタンダードなやり方だと思うんです。「つらいです」と言われれば「それはおつらいですね」と返す、適切に相槌を打つ、みたいな。明文化されてるわけじゃないですけど、これは医師の体力が削られないようにする方法なんだと思うんですよね。一日中診療するにあたって、体力を消耗せずにどの患者さんも平等に診るということが大事なので。僕は取り繕う方が疲れちゃうから、表面的な共感のポーズを示すより、自分ごととして考える方があっているんです。
ー「それってあなたの感想ですよね？」という煽り文句がありますが、その感想こそが重要なんだという。
マキダシ：そうそうそう。人によって合う合わないがあるやり方だとは思いますけど、「今までのお医者さんにはなかったリアクションを初めてもらえました」と患者さんに言ってもらえることもあります。こういうやり取りの中で、自分の人生もすごく広がった気がするんですよね。
ーそれだけ真正面から話を聞くということは、人の生き方を追体験するようなものですもんね。とはいえ、”人の調子聞いてばっかりの人生”のサビは＜たまには俺の調子も聞いてくれよ＞で終わります。やはり、聞きっぱなしだとつらいってことですよね？
マキダシ：そうなんですよね（笑）。この曲が形になったのは2020年、コロナ禍真っ只中で医者の働きをものすごく美化する風潮があったんですよ。
ーブルーインパルスが飛んだ時期ですね。
マキダシ：そうそう！ それ自体はすごくうれしかったんですけど、がんばってるのは医療従事者だけじゃないしなという気持ちもあって。何かを任されやすい人、矢面に立たされる人、色々受け止めないといけない人はたくさんいて、みんな人の調子聞きまくってると思うから、そういう人たちも「俺の調子も聞いてくれよ」というスタンスでいられたら健全だよなと。
