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瀧波ユカリは人生相談から社会にアプローチする。心構えで「構造」は変えられない

2025.10.22

#BOOK

ダメが少ない瀧波さんは人生相談に不向き?

瀧波:周りから見て、私はダメな部分が足りないんですよね。人生相談に向いてるのはダメがある人なんですよ。本当にダメじゃなくてもいいんだけど、ダメそうに見える人。すごく賢くて、書いているものもめちゃくちゃ売れるし、なんなら俳優もできたりするけど、恋愛はものすごく失敗するとか(笑)。

ー人間的な抜け感があるタイプの。

瀧波:うんうん、そういう親しみやすさがあると安心感がありますよね。「私たちってダメだよね」と言ってくれそうじゃないですか。

ー「そのままでいいんだよ」と言ってくれそうです。

瀧波:そうなんです。私は「行動で解決」型の人間なんですよ。常にダメを減らす方向に生きてるので。あっても隠すし。読者に対してもそうだし、友達に対してもそうなので、私が何かまともなことを言うと本当にきついんだろうなと思うんです。

ー逃げ場がないというか。

瀧波:本当にそう(笑)。だって経歴だけで言うと、24歳で漫画家デビューして、デビュー作がそこそこ売れて、27歳で結婚、30歳で子供を産んで、今も夫婦円満で暮らしてる。こんなヤツに何も喋りたくないじゃないですか。

ー隙がなさすぎる(笑)。

瀧波:デビュー作の『臨死!!江古田ちゃん』の主人公のダメな部分は私が持っていたものだし、今もまだ全然残っています。そこに親しみを感じて相談してくれる人はいると思うんですけど。もうちょっとダメがあったほうがいいよな。ここでも私はダメを増やすことでダメを減らそうとしてるんです!

ー親しみやすさを演出しようと。

瀧波:15年くらい経って老いていけばちょうどいいと思うんですよね。

ー物忘れなんかするようになって。

瀧波:そうそうそう、「この歳になると全然ダメなのよ〜」みたいな要素が、老いによってプラスされればいいなと。狡猾な話をしてますけど(笑)。

ーでも、瀧波さんが自らの意志と行動でダメを減らしてきたからこそ滲み出る説得力はありますよね。人生相談は、実践してきたことのシェアでもあるわけで。「私が実際にやって、良かったのでお勧めします」ということですもんね。「僕はやったことないですけど、なんかいいらしいです」だと説得力がないですから。

瀧波:確かに。すごくちっちゃいことの積み重ねでダメを減らしてきたので、その方法はめちゃくちゃストックしてあるんです。それにしても、もうちょっとダメなほうが聞きやすいだろうなとは思いますね。「私にもできたから、あなたにもできる」という話し方がよくありますけど、あれは本当に人を選びますよ。

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