メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES
オカヤイヅミの「うちで飲みませんか?」

カラスヤサトシと語る、アンチクライマックスの美学。エッセイ漫画家「サシ飲み」対談

2025.5.28

#BOOK

クライマックスやオチのない「面白さ」

オカヤ:文章が美しすぎますよね。描写が美しいところに重きがあるから、どこを読んでもいい。

カラスヤ:はい。ひとつひとつの描写がめちゃめちゃ良い。小説の神様みたいに言われていたのが、わかるようになってきましたね。若い頃って、もっと派手な作家に目がいくじゃないですか。志賀直哉は、齢を取るにつれて面白さがわかるというか、あと、自分がものを描いているとすごさがわかるところがありますよね。

オカヤ:そうですね。でも、展開がすごいとかではないから、人に勧めづらいですよね。私はここのところずっと「面白すぎないのがいい」って思っていて。Netflixのドラマとか、すごく面白いし見ちゃうんだけど、ちょっと「面白疲れ」みたいになってくるんです。

カラスヤ:わかります。この連載でも以前その話をされてましたよね。志賀直哉はもちろん面白いんですけど、アンチクライマックスというかね。谷崎とか芥川はNetflix系ですよね(笑)。太宰治もそうやな。やっぱり昔から強いのはNetflix系なんやな(笑)。

オカヤ:あはは。私は歳を取ってから、なぜかそれまで興味なかったのに、気づいたら花の写真を撮っててびっくりしたんですけど、そういうのに近いかもしれないですね。それこそこういう会話でも、「面白くなければだめ」という感じがあるじゃないですか。飲み会とかでも。

カラスヤ:あります、あります。そういうの良くないですよね。僕は大阪出身だから、よく「やっぱり『で、オチは?』って聞くの?」と言われたりするけど、大阪の人でもそんなにオチ無いですし、芸人みたいな人ばっかりじゃないですからね。鬱病の大阪人だっていますし。

オカヤ:そうですよね。私、面白くない話しかしないPodcastをやりたいんですよ。……いや、やらないですけど(笑)。この連載もそういうところがありますね。

カラスヤ:いいですね。面白くない話はいっぱいありますよ(笑)。

オカヤ:でも、ちょっとズレた趣味とか、気づかなかった意外な違いとか、そういう一見どうでもいい誰かのすごく個人的なことこそ「面白い」とも思ってます。

書籍情報

カラスヤサトシ
『カラスヤサトシの新びっくりカレー(1)』
発売中
価格:946円(税込)
新書館

記事一覧へ戻る

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS