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映画『旅と日々』を音楽から観る。「情景」とノスタルジー、映画と音楽のマジック

2025.11.28

#MOVIE

旅から日々へ。映画『旅と日々』に込められた生きることへの願い

この映画を通じて、観客は李の旅と日々を追体験することになります。「旅」とは何か。それは本作のテーマのひとつですが、この映画ではより広い意味での「旅」を描いています。

渚と夏男が海辺を旅行で訪れたことはもちろん、李が日本で脚本家として仕事しながら韓国人としてサバイブする日常も旅であり、李が旅先で触れたべん造(堤真一)の人生すらも旅と言えるかもしれない。

堤真一演じるべん造、冬パートより / ©2025『旅と日々』製作委員会

そしてノスタルジー。ノスタルジーは過去の記憶であり、過去の情景でもある。ノスタルジーや旅を通じて、自らの日々や人生を内省する中で「私とは何か」を観客含め各々が見つめていく——。

そうしたこと自体は映画という文化が描き続けてきたもので、ありふれたことかもしれません。しかし、つげ義春というとてつもない強靭な原作をあえて日常に取り入れて描く。ここにこの映画のユニークさがあると思います。

本作は、旅を経て、李が脚本家としての日々に戻っていく場面でエンドロールを迎えます。

そこで使用される楽曲でのみ、打楽器的なループが導入されているのです。時間感覚を定型化するループは、シンプルに「日々」のメタファーでしょう。この旅から日々へという美しい流れは、まさに『旅と日々』という主題そのものを表しているようであり、そこに希望のようなものも感じました。

©2025『旅と日々』製作委員会

簡単に結論づけることは難しいですが、人は旅から何かを得て、日々の推進力に変えていくことができます。それは言ってしまえば、日々へのモチベーションのようなものかもしれません。しかし私たちは、李の旅と日々を追体験することで前向きな何かが湧き上がることを確かに感じられる。

『旅と日々』は、そうした生きることへの願いが込められた映画なのかもしれません。

『旅と日々』

2025年11月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国公開

監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」

出演:
シム・ウンギョン
堤真一
河合優実
髙田万作
佐野史郎
斉藤陽一郎
松浦慎一郎
足立智充
梅舟惟永

製作:映画『旅と日々』製作委員会
製作幹事:ビターズ・エンド、カルチュア・エンタテインメント
企画・プロデュース:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ザフール
配給:ビターズ・エンド

www.bitters.co.jp/tabitohibi

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