11月5日(水)から9日(日)まで開催される『アートウィーク東京(以下、AWT)』の4プログラムの概要が発表された。
『AWT』は、2021年から開催されている現代アートの国際的なイベント。⽂化庁協⼒のもと、スイスで開催される世界最大級のアートフェア『アートバーゼル』(Art Basel)と提携し、アートを多角的に体験できる様々なプログラムを通して東京の現代アートの「いま」を発信することを目的としている。
南青山には、新進シェフによるオリジナルフードやアーティストとのコラボレーションカクテル、サウンドプログラムやパフォーマンスが楽しめるポップアップバー「AWT BAR」が期間限定でオープン。設計は岡山の犬島プロジェクトなどで知られる建築家の松沢一応が担当し、建築家の選定は「AWT BAR」のアドバイザーである妹島和世が行った。空間全体に「ゆがみ」を生じさせた設計が特徴となっている。


また、提供飲食物についても新たな情報が公開された。フードはミシュラン三つ星レストラン「レフェルヴェソンス」のエグゼクティブシェフとして知られる生江史伸が手がけ、甘味(スクレ)と塩味(サレ)2種のフィンガーフードを通じて、食べるという行為の奥行きや感覚の記憶を感じる体験を提案する。

アーティストとのコラボカクテルでは、南麻布のミサシンギャラリーで個展を開催する小沢剛、品川のアノマリーで作品を展示するChim↑Pom from Smappa!Group、六本木の国立新美術館のグループ展に参加するやなぎみわの3組が、それぞれ展覧会とリンクしたカクテルを考案。ドリンクの詳細とアーティストコメントも公開されている。
小沢剛「汎大陸(パンゲア)」
現在の六大陸の元になったと言われる「パンゲア大陸」に着想を得て考案された6層のカクテル。

小沢剛
アーティスト コメント
赤いリングを探してごらん
他の色たちも探してごらん
太古 大陸は1つだった
今みたいに 世界は分断などしていなかった
6つの大陸は 雄大な夕暮れの海になった
さあ あなたの中で 1つに溶かしておくれ

Chim↑Pom from Smappa!Group「ゴールドエクスペリエンス」
宇宙デブリに着想したカクテル。野菜くず由来のスープとグラッパに、彫刻作品の破片と雑草を入れて楽しむホットカクテル。

Chim↑Pom from Smappa!Group
アーティスト コメント
今、「ゴミ」とされている物の別の側面が見えた時、その意味や歴史が広がり価値観が揺れる。そんな体験の入口になるようなホットカクテルをつくりました。ベースのグラッパは今でこそ高級なものもありますが、元々はワインの搾りカスでつくられる安酒でした。割り物は普段WALLで提供される料理の野菜くずからとったスープ。保温の焼き石にはゴミ袋をテーマとした私たちの彫刻作品の破片を使っています。実はビアンコカラーラというダビデ像と同じ山から切り出された大理石です。彩りに、日本では雑草とされる一方、海外ではハーブとして知られる季節の植物を添えました。カクテルのイメージの元となったのは宇宙デブリ。人類の進歩の欲望の結果、処理されずに宇宙に漂うデブリは核廃棄物にも似ています。けれどもその一つひとつがスプートニクやアポロ11号の破片かもと思うと想像が広がります。

やなぎみわ「elevator girls」
ブルーのカクテルに、やなぎみわの代表作《エレベーターガール》を思わせるハイヒール型のゼリーを浮かべた一杯。

やなぎみわ
アーティスト コメント
水底に沈むエレベーターガールたちの写真作品からイメージした艶やかなカクテル。エメラルドブルーのソーダの中に漂う赤い靴は、毒のある人造美の色に見えて、意外やクランベリーを凝縮した酸味あふれる味わいです。ビジュアルと味わいの差も、ぜひお楽しみください。

※「ゴールドエクスペリエンス」と「elevator girls」はノンアルコールも対応。
美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購⼊という体験を掛け合わせて現代アートをキュレーションするプログラム「AWT FOCUS」は、国際芸術祭『ドクメンタ14』 で芸術監督を務めたキュレーターのアダム・シムジックが監修を務める。テーマを「リアルとは?」とし、ソーシャルメディア上で非現実が生成・拡散される現代において、「リアル(現実/写実)」はどういう意味を持つのかを探る。

参加ギャラリーのアーティストの映像作品から厳選したビデオプログラムを上映する「AWT VIDEO」は、東京都現代美術館の学芸員であり、『恵比寿映像祭』の創設にも携わった岡村恵子が監修を担う。プログラムタイトルを「儀礼、あるいは祈りの不条理な美」とし、10名のアーティストが参加。様々な祈りの形を表現した10名のアーティストによる作品を通して、不確かな日々を生きる手掛かりを模索する内容となっている。

国内外のキュレーターや思想家を招いたシンポジウムやオンライントークなどを展開する「AWT TALKS」。基調講演はグッゲンハイム美術館の副館長兼チーフキュレーターで、2027年開催の『ドクメンタ16』のアーティスティックディレクターに就任したナオミ・ベックウィスが務める。

また、新企画として、「ディレクターズ・カンバセーション」を開催。香港の現代美術館M+のアーティスティックディレクター兼チーフキュレーターであるドリアン・チョンがモデレーターを務め、世界有数の美術館のリーダーたちが美術館運営から企画 / 立案、アウトリーチまで様々なトピックについて語るトークセッションを展開する。

そのほか、アーティストや美術史家、キュレーター、批評家、クリエイターなど、各分野の第一線で活躍する専門家らによるレクチャーやディスカッションをオンラインで計3本配信予定。第1弾として、清澄白河の東京都現代美術館で『笹本晃 ラボラトリー』展を開催する笹本晃と、北京のユーレンス現代美術センター(UCCA)で9月から個展を控える田中功起による対談が公開されている。
『アートウィーク東京』(欧⽂:Art Week Tokyo、略称:AWT)
会期:2025年11⽉5⽇(水)-11⽉9⽇(⽇) 10:00-18:00
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協⼒:⽂化庁
アートウィーク東京モビールプロジェクト
会期:2025年11⽉7⽇(金)-11⽉9⽇(⽇) 10:00-18:00
主催:東京都/アートウィーク東京モビールプロジェクト実⾏委員会
料金
・AWT BUSの乗⾞無料。
・参加ギャラリーの⼊場無料。参加美術館ではAWT会期中に限り所定の展覧会にてAWT特別割引適⽤。
・AWT FOCUSの⼊場⼀般有料(⾦額未定)、学⽣・⼦ども無料。
参加施設(2025年7月15日時点)
美術館・インスティテューション
アーティゾン美術館 / エスパス ルイ・ヴィトン東京 / 銀座メゾンエルメス フォーラム / 国立新美術館 / 資生堂ギャラリー / シャネル・ネクサス・ホール / 東京オペラシティ アートギャラリー / 東京国立近代美術館 / 東京都現代美術館 / 東京都写真美術館 / 東京都庭園美術館 / 森美術館 / ワタリウム美術館
ギャラリー
ギャラリー38 / アノマリー / ウェイティングルーム / XYZコレクティブ / MEM / カイカイキキギャラリー / カナカワニシギャラリー / カヨコユウキ / ケンナカハシ / コウサクカネチカ / コタロウヌカガ / ギャラリー小柳 / 小山登美夫ギャラリー / シュウゴアーツ / スカイザバスハウス / スタンディングパイン / スノーコンテンポラリー / スペースアン / タカ・イシイギャラリー / タクロウソメヤコンテンポラリーアート / タケニナガワ / タロウナス / 東京画廊+BTAP / ナンヅカアンダーグラウンド / 日動コンテンポラリーアート / ハギワラプロジェクツ / PGI / ファーガス・マカフリー / フイギユア / ペース・ギャラリー / ペロタン東京 / ポエティック・スケープ / ミサコ&ローゼン / ミサシンギャラリー / ミヅマアートギャラリー / 無人島プロダクション / ユタカキクタケギャラリー / ユミコチバアソシエイツ / リーサヤ
※AWTの⼀覧表記ルールに基づく施設名称表記の50⾳順です。
「AWT BAR」開催概要
会場:港区南⻘⼭5-4-30 emergence aoyama complex
会期:11⽉5⽇(水)〜9⽇(⽇)
営業時間:10:00〜22:30 (ラストオーダー22:00)
「AWT FOCUS」開催概要
会場:港区⻁ノ⾨2-10-3 ⼤倉集古館 1・2階
会期:11⽉5⽇(水)〜11⽉9⽇(⽇)
開場時間:10:00〜18:00(最終⼊場17:30)
料⾦:⼀般有料、学⽣・⼦ども無料
※ 9⽉頃にオンラインチケットを販売開始予定。
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
特別協⼒:公益財団法⼈ ⼤倉⽂化財団 ⼤倉集古館
※ 本展に関しての⼤倉集古館へのお問い合わせはお控えください。
「AWT VIDEO」開催概要
会場:千代⽥区丸の内1-3-2 三井住友銀⾏東館 1F アース・ガーデン
会期:11⽉5⽇(水)〜 11⽉9⽇(⽇)
開場時間:10:00〜18:00
料⾦:無料
会場:慶應義塾⼤学 三⽥キャンパス ⻄校舎ホール
⽇程:11⽉7⽇(金)18:00〜20:00(17:30開場)
料⾦:参加無料、事前申込制
共催:慶應義塾⼤学アート・センター、慶應義塾ミュージアム・コモンズ
※参加の受付はオンラインにて9⽉頃を予定。
会場:東京都現代美術館 講堂
日程:11月6日(木)17:00〜18:00(16:30開場)
料⾦:参加無料、事前申込制
共催:東京都現代美術館
※参加の受付はオンラインにて9⽉頃を予定。