長瀬有花の“ノートには鍵”のMVが6月30日(月)に公開された。
長瀬有花は2次元(Digital)と3次元(Physical)の両軸で活動するマルチアーティスト。3DCGやイラストレーションで構成されるバーチャルアーティストとしての姿と、現実世界(実写)でのアーティストとしての姿を持ち、活動によって自身の露出形態 / 表現手法を使い分けている。

5月23日(金)に発売されたコンセプトアルバム『Mofu Mohu』の全曲映像化プロジェクトとして、これまでに“遠くはなれる思考の聞き取り”、“ワンダフル・VHS”、“hikari”の3作品を公開してきた長瀬。このたびMVが公開となった“ノートには鍵”は長瀬自身が作詞作曲を手がけており、映像は加藤マニが監督した。
今後公開予定の“われらスプートニク”のMVは、多彩なロケーションを独自の視点で切り取るVlogスタイルのYouTuberで、アメリカ出身のマックスが担当。映像監督として初めて作品を手がける。
“スケルトン”のMV制作はアニメーション / イラスト作家のタカハシ・サキが担当。これまで長瀬のMVでは“とろける哲学”、“むじゃきなきもち”などを手掛けており、手描きの質感や柔らかい線と色彩で描かれるビジュアルが特徴的。
“われらスプートニク”、“スケルトン”の2作品は7月中の公開を予定しており、公開日などの詳細は公式SNSを通じて順次発表される。この2曲で、インスト楽曲を除くすべての楽曲が映像化されることになる。
以下、MVを制作した3名からコメントが届いている。
映像監督・加藤マニ
実しやかに囁かれてきた「ポップミュージックは、最初の30秒が重要なんだ。」という言葉で示される、リスナーに興味を持ってもらうための制限時間は、いつしか「最初の15秒」となり、さらには「最初の10秒」となり、ついには「最初の6秒」が重要になり始めているらしい今日この頃ですが、兎角わたしたちには与えられた時間に対して、楽しそうなことが多すぎるようで、そうした創作に従事する人々は(わたしも含めて)いかに皆さんの手を引いて、目を見開かせ、耳をつまみ、なんとか興味を持ってもらいたい!ということに躍起になってしまう世の中になってしまったようです。(とはいえ、そうした「あなたに興味を持ってもらいたいんだ!」という気持ち自体に、まだ愛は多分に残っていると思ってもいます)
そうした現在において、本楽曲は(あえて語弊を生む言い方をするならば)あまりにも悠長で穏やかな展開を皆さんに提示します。昨今こんなにもボーカルの譜面に大きな休符が入ること自体、珍しいのではないでしょうか。しかしながら悪戯に壮大なワールドミュージック然としたものでもなく、あの頃のベッドルーム、およびヘッドフォンの中に可愛らしく収まるようなシューゲイズ・ミュージックでもあります。それは、ゆるやかにドリップされた香り高いアイスコーヒーのような(ホットコーヒーほど、飲むタイミングが難しいわけでもないのです)、ちょっとした贅沢。というムードを湛えながらも、決してブルジョワなわけでもない。ちょうど良い豊かさというやつなのでしょうか。
旅先の素敵なホテルの部屋に荷物を置いて、すぐ街に飛び出していってしまうわたしには、まだ行いきれないことではあるのですが、ゲストルームでくつろぎながら、読みたかった本を時間を気にせずゆっくり読むような、ガチャガチャ、バタバタしていない幸福のようなものかもしれません。丁寧な暮らしを毎日行うには忙しすぎるわたしたちではありますが、たまの贅沢に対して、コストや時間のパフォーマンスを意識せずに楽しむという気持ちは、やっぱり持っていたいなあと思ってもいます。ポップミュージックを聴くことにおいても、なんというかそうした、溶けゆくロックアイスによって変わっていく飲み物の味を楽しむような緩やかさがあってもいいんですよなあ。と改めて思った次第でした。
そういうわけで本作の映像も、2000年代前後のMTV的な、離脱率を意識しない、それでいて決して退屈なわけではないけれど、定期的な刺激を与え続けるわけでもない、チャンネルを変えられることを恐れない雰囲気のものにしてみました。同世代以上の皆さんにはどこか懐かしく、若きみなさんには少し新鮮なものにできたように思っています。お好みの飲み物を片手に、一旦他のことは全て忘れながら、4分半の鑑賞に耐えうるものになっていたとしたらとても嬉しく思います。加藤マニ
YouTuber・マックス
「We are Sputnik」を聴くと、懐かしさがこみ上げてきます。
音に触れた瞬間、旅の記憶がよみがえりました。
音楽には風通しの良い軽やかさがあり、広く開けた空間を思い出させてくれます。
旅というものは、時に“何かを探す”ような行為に感じられることがあります。
何かを見つけるために、何かを学ぶために、どこかへ行かなければならないと思い込んでしまう。
でも最近、少しずつ気づいてきたのは、ただその場所に身を置いて、
雄大な山の前で自分の小ささを感じたり、一人で海岸を歩いたりするだけで、
十分に意味があるということです。マックス
タカハシ・サキ
長瀬さんとcat napさんのタッグが大好きなので、MV制作のお声がけをいただき本当に嬉しかったです(^^)
今回の楽曲のコンセプトが「シュルレアリスム」ということで、MVもそれにならって、1枚の絵画を鑑賞するときのように、見れば見るほど惹き込まれるような、意味を考えたくなるようなものにできればいいなという思いで作りました。
また、画面上とリアルを行き来する長瀬さんらしいMVにできるよう、今回はアニメーションにプラスして、実写の映像や写真を混ぜてみました。
日常からふわふわ、ぼんやりと切り離してくれる「スケルトン」という楽曲を、さらに面白くするようなアニメーションにできていたらいいなと思います。タカハシ・サキ
長瀬有花“ノートには鍵”MV情報
2025年6月30日(月)20時:長瀬有花YouTubeチャンネルプレミア公開
Music and Lyrics by Yuka Nagase
Vox: Yuka Nagase
Guitar: Kohei Hiromura (from pepetterz)
Bass: Yusuke Morita
Piano, Keyboard: Yusuke Sato
Drums: Seiya Kudo
Arranged and Programmed by Kazuya Yaguchi
Recorded and Mixed by Ryoma Nakamura
Mastered by Mike Hillier
Sound Produced and Directed by Kazuya Yaguchi
Music Video
Starring: Nanako Ando
With: Four Greenmen (Kanon Yoshimoto, Shun Fujii, Manato Murase, Hermits Qzaki & The Dreamers), Yuka Nagase
Music Video Director: Mani Kato
Director of Photography: Yuya Noda
Sceneshifter: Momo Oomizu
Best Boy: Yutaro Wada
Production Assistant: Hermits Qzaki & The Dreamers
Production: Kigensho Records / manifilms inc
長瀬有花Concept Album『Mofu Mohu』

発売日:2025年5月23日(金)
1. Today’s Music (Instrumental)
2. スケルトン – 作詞:ねこみ (cat nap), 長瀬有花 / 作曲:ねこむら(cat nap) / 編曲: 森田悠介
3. われらスプートニク – 作詞:佐藤優介, 長瀬有花 / 作曲編曲: 佐藤優介
4. The Listening Room (Instrumental)
5. ワンダフル・VHS – 作詞作曲:長瀬有花 / 編曲:矢口和弥
6. ノートには鍵 – 作詞作曲:長瀬有花 / 編曲:矢口和弥
7. hikari – 作詞作曲編曲:清水正太郎 (from kurayamisaka)
8. Poisson Soluble (Instrumental)
9. 遠くはなれる思考の聞きとり – 作詞作曲編曲:広村康平 (from ペペッターズ)
アートワーク:榎本マリコ
配信:https://kigensho.lnk.to/mofumohu
特設サイト:https://riot-music.com/kigensho-records/mofumohu/