舞台芸術祭『秋の隕石2025東京』が、10月1日(水)から11月3日(月・祝)まで、東京・池袋の東京芸術劇場を中心に開催される。
チェルフィッチュ主宰の岡田利規がアーティスティック・ディレクターを務める同芸術祭では、国内外の多様な舞台芸術作品15演目を上演するほか、作品に紐づいた関連企画やワークショップなどを展開予定。7月に発表予定のプログラム詳細に先がけて、岡田からのメッセージが公開された。
アーティスティック・ディレクター メッセージ
「隕石」とは何か?
ここでいう「隕石」とは、比喩です。ここにないなにか。慣れ親しみのあるものとは大いに異なるなにか。そうしたものたちがここにやってきて、ここにいるわたしたちと遭遇する。あたらしい形式や思考の枠組みにふれ、いつもと違う仕方で感性や脳が刺激される。そのような〈事件〉となるものでありたいという野心を、わたしおよびチームはこの名称、舞台芸術祭「秋の隕石」に託しました。
初年度の舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」は芸術と〈現実〉との関係を強く意識してプログラムされます。なぜなら、わたしたちが生きる〈現実〉、日々直面している〈現実〉、ついつい支配的・一義的なものとして認識してしまいがちな〈現実〉ーーそのような〈現実〉を、問う・揺るがす・あらたな眼差しで捉えるということを、芸術を通して引き起こしうるから、その作用を大いに重視しているからです。
こうした姿勢でプログラミングを行うことを通して舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」は、舞台芸術が機能する文脈の変動・拡張をめざします。舞台芸術の引き起こす経験が現実の生へと還元されていく仕方、その染み渡る仕方が少しでも確かなものになることをめざします。
「隕石」たらんとするため、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」はさまざまな地域からさまざまな問題意識、さまざまな美学的スタイルを備えたアーティストたち・演目群を十月の東京に招きますが、それだけではじゅうぶんとおもえません。舞台芸術はさまざまな意味においてコラボレーションですが、なんといっても演目と観客とのコラボレーションです。舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」は、紹介する演目たちの上演に立ち会う人びともまたさまざまであることをめざします。充実したアクセシビリティを用意します。
これが、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」の野心です。舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」は、〈現実〉との関係を問う・揺るがす・あらたな眼差しで捉えるための、文脈たちの宴となります。ご期待ください。岡田利規 ©Kikuko Usuyam
また、クリエイティブディレクションを「NEW Creators Club」が担当することも明らかになり、同芸術祭のビジュアル・アイデンティティ(VI)も発表。「隕石」という文字をベースとして、ユーザーの誰もが任意に形状を変えることのできるジェネレーター(生成システム)が用いられ、メディアや表出機会ごとに常に変化するものとなっている。公式サイトで表示されるVIは、スマートフォンを傾けたり、PCでカーソルを動かしたりすることで形状が変化。誰でもアクセスできるジェネレーター「VI Composer」のURLと「NEW Creators Club」からのメッセージも公開された。


NEW Creators Club メッセージ
「秋の隕石」という名前は思いがけないものだったが、力のある強い字面だと感じた。そのまま素直にロゴタイプを作ればビジュアルコミュニケーション上は十分だったが、VIシステム自体が、岡田氏が掲げる「隕石(ここにないなにか。慣れ親しみのあるものとは大いに異なるなにか。)」になっているべきだと考えた。そこでLive Performing Artsらしく「LIVE VI」なる概念を到来させた。「LIVE VI」とは何か。それは決まった一つの形状だけでなく、規定の動きを続けるモーションだけでもない、刻一刻と形を変えていくVIである。このVIシステムを成り立たせるため様々なセンサーやパラメーターを搭載したジェネレーターを開発した。プリセット機能によって一般的なアセット管理の感覚で使用することもできるが、出力されるデザインには必ず乱数が使われるため二度と同じものは作ることができない。僕たちはこの「隕石」を受け入れることができるだろうか。
舞台芸術祭『秋の隕石2025東京』

英語名称 Performing Arts Festival: Autumn Meteorite 2025 Tokyo
会期 2025年10月1日(水)〜11月3日(月・祝)
会場 東京芸術劇場、GLOBAL RING THEATRE〈池袋西口公園野外劇場〉 ほか
主催 東京舞台芸術祭実行委員会〔東京都、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)〕
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流)) |独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛 アサヒグループジャパン株式会社
プログラム数 15演目(予定)
※プログラム詳細は 2025年7月に発表予定。
※内容は予告なく変更する場合があります。予めご了承ください。