魚豊(うおと)原作の漫画『チ。-地球の運動について-』が2025年10月に舞台化される。
15世紀のヨーロッパ某国を舞台に、天文への情熱を捨てられずにいた神童・ラファウが謎めいた学者・フベルトと出会い、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」を自らの命をかけて証明していく内容となっている同作。2024年10月から2025年3月まではNHK総合テレビでアニメが放送されたほか、日本科学未来館で作品に関連した特別展が開催されるなど、幅広い形で話題を呼んでいる。
舞台化の演出は、日本ではミュージカル『100万回生きたねこ』や百鬼オペラ『羅生門』を手がけてきたアブシャロム・ポラックが担当。脚本の劇作家 / 演出家・長塚圭史と共に作品の魅力をライブパフォーマンスとして立ち上げていく。そのほかのスタッフとして、音楽は『100万回生きたねこ』や長塚演出の『イーハトーボの劇列車』でも音楽を担った作曲家・阿部海太郎、振付はKAAT神奈川芸術劇場プロデュースの『人類史』で振付を担当した振付家 / ダンサーのエラ・ホチルドが務めることも明らかになった。
また、キャストとして窪田正孝、三浦透子、大貫勇輔、吹越満、成河、森山未來が発表。情報解禁に際し、原作の魚豊、長塚、アブシャロム・ポラック、エラ・ホチルド、キャストからのコメントが公開された。
なお、出演者続報や配役、チケットの販売情報などは後日発表予定となっている。
原作者・クリエイター・キャストコメント
■原作著者:魚豊
光栄の限りです。
“コマ”がどの様に”板”に変換されるのか、ただただ楽しみです!■脚本:長塚圭史
魚豊さんのセリフが素晴らしいんです。漫画を読んでいる時とはまた違ったそれぞれの人物の魅力が漂います。もちろん全てのキャラクターが魅力的に立ち上がっていく作品になるのですが、ノヴァクという異端審問官の視点に注目しました。彼は周りが追い求める真理への情熱や欲望とは全く別なところ、徹底的に俗世を、現在を生きるんです。でもこの世界の常識を覆す地動説に猛烈に関わっていく。ここを起点に演劇としての血が流れるよう準備していきたいと思っています。■演出:アブシャロム・ポラック
ホリプロを通じて「チ。」という作品とその舞台化の構想に出会ったとき、私は一瞬で心を奪われました。これまで世界中の漫画やグラフィック・ノベルに親しんできましたが、「チ。」はまさに傑作です。この舞台化の旅では、これまで共に創作してきた大切な仲間であるMirai、Songha、Yusuke、Umitaroと再びタッグを組めること、そして新たに情熱あふれる才能豊かな方々とご一緒できることに胸が躍ります。
この物語に舞台で命を吹き込み、新たなお客さまにお届けする一方で、長年のファンの皆さまにはさらに深く没入できる体験をお届けできることは、大きな喜びであり光栄です。舞台版では、「チ。」の魅力を新鮮かつ躍動的に表現し、その輝きを多様なお客さまと分かち合いたいと願っています。■音楽:阿部海太郎
地動説に魅了されてきた人々を想像し、思いを寄せることができるのは大きな喜びです。幼いころ宇宙について考えるのが好きでした。私もまた、測り知れないものに触れることが好きだからです。夜、沈黙の彼方に現れる天体の音楽を想像すること、そして素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと取り組めることをとても楽しみにしています。■振付:エラ・ホチルド
再びアブシャロム・ポラック、そして才能あふれる日本のアーティストたちと共に創作できることを、心から光栄に思います。
疑うことすら許されないものに問いを投げかける恐れと興奮、運命に抗うことの重み、そして世界を動かそうとする者たちの止められぬ衝動。そのすべてを体現するライブ体験を創り上げることに胸が高鳴っています。キャストコメント
■窪田正孝
「私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。それでも、この世に期待したい。」
原作の真理に満ちた文字たちが脳に響き渡ったあの感覚が今でも忘れられません。
「チ。」を舞台で体現できる喜び、スタッフキャストの美しさ。
僕にとって紛れもない正義を与えてもらいました。
持てる全てを曝け出し挑んでいきたいです。■三浦透子
原作を拝読し、学ぶ自由、疑う自由との戦いに心が震えました。芝居・踊り・歌、様々な表現を通して創る作品の世界を体現できるよう、出来うる限りの心と時間を費やす覚悟です。沢山の方に愛されているこの「チ。」という作品に最大限のリスペクトを持ち、スタッフ・共演の皆様から学びながら、自分の表現を磨いていければと思います。■大貫勇輔
僕が大好きな漫画である、「チ。」に参加できることが、本当に嬉しいです!
演出のアブシャロムさんと森山未來さんとは『100万回生きたねこ』の初演以来。素晴らしいキャストの方々と、世界初演のこの作品をクリエイションできることにすごく興奮しています!主人公が何人も出てくるこの入り組んだ作品をどう形にしていくのか。尊敬している長塚圭史さん、海太郎さんの脚本と音楽も今からとても楽しみです。
皆様もきっと観たことないであろう世界、楽しみにしていてください!■吹越 満
だいたいの舞台というものは、大きく3つの種類に分けられる。
例えば、①10㎝は10㎝である舞台。②10㎝を2㎝とする舞台。③10㎝を1メートルでみせる舞台。④10㎝を50グラムで表現する舞台。⑤10㎝とは雨に濡れる赤いハイヒールである、な舞台。
んあ?あ、5つか。いや、嘘つきましたすいませんつまりは、種類は無限にあるんでしょう。しかし、嫌いなものをたくさん発見してもしょうがないのです。いつもの慣れたものでお茶を濁すより、無限にあるものの中からまだみぬお気に入りを探す。
アブシャロムさんとの仕事は、そんな感じになるといいです。楽しみです。■成河
アブシャロムというひとは凄いひとです。凄い役者で、凄い演出家です。『100万回生きたねこ』の時、僕は彼から俳優として身体操作すること、その深み、喜びを学びました。さらに、ねこ先輩である森山未來さんまで一緒とは。まるでご褒美のような気分です。原作のエネルギー迸る作画と、加速力ある物語。このメンバーでなら、未だ誰も足を踏み入れたことのないような舞台化の領域を探索出来ると確信しています。■森山未來
以前より愛読していた「チ。」を、心から信頼するクリエイター・キャスト陣と共に舞台化できることを嬉しく思っております。いつの世も混沌とした人間世界ではありますが、この作品が、コペルニクス的転回とまでは言わないまでも、みなさまが日々を生きる地球への見方を少しでも変容させるものになることを願っています。
舞台『チ。ー地球の運動についてー』

<スタッフ>
原作:魚豊「チ。-地球の運動についてー」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
脚本:長塚圭史
演出:アブシャロム・ポラック
音楽:阿部海太郎
振付:エラ・ホチルド
<キャスト>
窪田正孝 三浦透子 大貫勇輔/吹越 満 成河/森山未來
ほか
公式Instagram=https://www.instagram.com/chi_orb_stage/