12月13日(金)より東京・渋谷のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で上映される映画『ミュージック』(原題:Music)に対する著名人コメントが到着した。
同作は、悲劇的な出来事に見舞われながらも音楽に癒しを見出し、歌うことで悲しみを乗り越えようとする男・ヨンを主人公にしたドラマ映画。悲劇の最高傑作として名高い『オイディプス王』から着想を得つつ、舞台をヨーロッパに置き換えるなど大胆かつ自由に翻案されている。2023年にベルリン国際映画祭のコンペティションに出品され、銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞。その後もトロント国際映画祭、ニューヨーク映画祭、ロンドン映画祭、東京国際映画祭と世界中の主要映画祭に選出、称賛された。
監督 / 脚本 / 編集は、2019年作『家にはいたけれど』でもベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀監督賞)を受賞し、全てを美しく厳粛に映すスタイルからロベール・ブレッソンやシャンタル・アケルマンと並び称されるアンゲラ・シャーネレク。主演は『ジュリア(s)』などに出演し、歌手としても知られるアリョーシャ・シュナイダーと、『イサドラの子どもたち』で名演を残したアガト・ボニゼールが務める。タイトル通り、同作で重要となる音楽は、カナダ・トロント在住のダグ・ティエリが楽曲を提供。日本のファンも多いサンドロ・ペリとも協働するアーティストで、シャーネレク監督が1年以上のリサーチの末にようやく出会ったティエリの楽曲が、同作を完成へと導いた。
公開されたコメントは、音楽家・石橋英子、シンガーソングライター・折坂悠太、映画監督 / 映像作家・清原惟によるもの。
この映画で表される音楽は「身体」であり「時間」であると思う。
身体や時間はあらゆることを受け入れていく。音楽はその沈黙の中で生まれているのだと思う。
沈黙の中から這い出て音楽家が鳴らし始める音楽は残念ながら既に音楽でなくなっている事が多いのでは、とこの映画を見て強く思った。
鳴らされる前の純粋な音楽がこの映画には詰まっている。
──石橋英子(音楽家)どうして抱きしめたか。その横顔が、何を見つめていたか。
注ぐ光はこんなにも鮮明で、服の皺、血の滲み、
岩場に生える枯れ草の微かなそよぎまで、画面に穴が空くほど見つめられるのに、
見れば見るほど、分かることなど無いと分かる。
手からこぼれ落ちたものの感触を少しでも残しておきたくて、
覚え書きの旋律が生まれる。私がそこにいなくても、そこで歌われるために。
悲しくて、少しだけ温かかった。
──折坂悠太(シンガーソングライター)音楽を美しく使う映画はたくさんあるけれど、『ミュージック』は映像が、音が、映画全体が音楽のようだった。
色彩や、人々の所作から風のゆらめきまで、ひとつひとつが緻密なコンポジションのようで、
通りの車の音でさえも、洗練された音楽に聴こえてくる。
──清原惟(映画監督・映像作家)
また、新たな場面写真と、オルタナティブポスターも公開されている。
『ミュージック』
2023年/ドイツ、フランス、セルビア/ギリシャ語、英語/109分/DCP
監督・脚本・編集:アンゲラ・シャーネレク
キャスト:アリョーシャ・シュナイダー、アガト・ボニゼール、マリシャ・トリアンタフィリドゥ
原題:Music 字幕:吉川美奈子 字幕協力:東京国際映画祭 ©Shellac
2024年12月13日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて上映