第17回shiseido art egg賞を野村在(のむらざい)が受賞した。
同賞は、資生堂ギャラリーが、新進アーティストによる「新しい美の発見と創造」を応援する公募プログラムとして2006年にスタートしたもの。第17回となる今回は、アーティスト林田真季、野村在、岩崎宏俊の3名が2024年1月30日(火)~5月26日(日)にかけてそれぞれ個展を開催。展覧会後、美術家の鬼頭健吾、音楽家 / アーティストの蓮沼執太、神話学者 / 國學院大學教授の平藤喜久子の3名の審査員による審査の結果、野村在が第17回shiseido art egg賞を受賞した。多様な手法を用いて人が存在した記録と記憶という明確なテーマを追求しながら、たくみな空間の捉え方と洗練された会場構成で、鑑賞者が参加したり、変化する作品を何度も見たいと思わせたりする仕組みが評価された。
1979年に兵庫県で生まれ、現在は神戸とニューヨークを拠点に活動する野村在は、10代で経験した阪神・淡路大震災による家族の死をきっかけに、生と死、さらにその間に横たわるものを写真や彫刻を素地とした多彩なメディウムを通して露わにすることを試みてきたアーティスト。『君の存在は消えない、だから大丈夫- It’s OK, the fact you exist will never fade even though this universe will be gone- 』というタイトルで開催された野村の展覧会は、亡くなった人の写真を水に印刷する写真装置や、約90年間、人のDNAを打刻し続けるパフォーマティブな作品を発表。過去、現在、未来が交差し、変容する情報媒体を独自の視点で捉え、人間の本質や存在の在り方について問いかけた展示内容で、鑑賞者の共感を得ながら開かれたアートを体験する場を提供した。


■野村 在コメント
この受賞は私のものではありません。
これはこの展示を支えてくださった関係者の皆さんと、何より作品を観て参加してくださった方々ひとりひとりのあの体験が、芸術の新たな地表として優しく認められた事だと思っています。私はこれからもこの世界を見つめ続け、作品に向き合いながら生きていきます。ありがとうございました。