イエデイヌ企画の舞台『エリカによろしく』が10月18日(金)から20日(日)まで、東京・三鷹のSCOOLで上演される。
2014年に演出家の福井歩が発足した演劇プロジェクトである、イエデイヌ企画。「他者の存在があって、初めて上演が可能になる」という考えのもと、作品ごとにメンバーを集め創作を行っている。上演を通じて、現代社会における既存の価値観や感覚をみつめ直し、言語化し難いものを捉えることを目的にしているという。
同公演は、2023年に魚田まさやが脚本を務めた『エリカによろしく』の再演。ある男性とその恋人の別れと旅立ちをめぐる会話劇となっており、出演者には重山知儀と平山瑠璃が名を連ねている。
公演期間中にはアフタートークが予定されており、18日(金)の14時回にはエッセイストの古賀及子、19日(土)の14時回にはライターの小沼理がゲストとして参加。20日(日)の14時回には再演『エリカによろしく』の創作メンバーによるトークが行われる。
劇作家・魚田まさやのコメント
去年の初演を見た時、上演は去っても、そこで発された声は戯曲に確かに染みこんで残るのだと感じました。再演では、その場で発される声と、テキストに染みこんだ過去の声、二重の声が立ち上がると言えるのかもしれません。それは作家としてとてもとても嬉しく、感動的な出来事です。
悲しく虚しい気持ちになるニュースや出来事はやまず、こんな世の中いっそ壊れてしまえと思ってしまう時もありますし、ほとんど全ての人にその冷たいやけっぱち心が住み着いているとすら思います。しかしだからこそ、愛にまつわるこのささやかな物語が、より豊かな力を持ってみなさんの前に現れることを心から願っています。初演をご覧いただいた方も、そうでない方も、ぜひお越しください。
イエデイヌ企画代表 / 演出・福井歩のコメント
再演すると決めたのは私だが、そもそも一度上演した作品をもう一度上演するとはどういうことなのだろうか、と考えている。再演の目的は、初演よりうまくやることではない。「初演と同じ」を目指しても全く同じにはならないし、仮に初演を再現できたとしても、そんな上演はきっとつまらない。
距離と配置を慎重に探る。戯曲のことばを信じて動き、何かが起こったら考える。このような暗中模索は初演時と同様ですが、初演とは異なる力が生まれるよう、再演の稽古に励みます。