10月14日(土)に公開される映画『ヨーロッパ新世紀』(原題:R.M.N.)の予告編映像および場面写真が解禁となった。
同作は、『4ヶ月、3週と2日』で第60回カンヌ国際映画賞パルムドールを受賞し、『エリザのために』で第69回カンヌ国際映画賞監督賞を受賞したクリスティアン・ムンジウによる最新作。外国人労働者をめぐって起きたささいな対立が深刻な紛争へと発展していく様を描きながら、幾多の火種を抱えたヨーロッパの不穏な新世紀、そして分断された世界の今をあぶり出す社会派サスペンスとなっている。
新たに解禁となった予告編映像では、クライマックスでの17分におよぶ長回しショットの一部のほか、作品の舞台であるルーマニア中部・トランシルヴァニア地方の伝統儀式などの様子が収められている。あわせて場面写真も公開された。
また、クリスティアン・ムンジウが作品テーマについて語ったコメントも到着している。
クリスティアン・ムンジウ監督からのコメント
『本作は連帯対個人主義、寛容対利己主義、ポリティカル・コレクトネス(政治的妥当性)対真摯さといった現代社会が抱えるジレンマに疑問を投げかけている。また、自分の民族や部族に帰属し、他の民族、宗教、性別、社会階層を問わず他者を遠慮や疑惑の目で見るという、根源的な欲求にも疑問を投げかける。これは古き良きと思われている昔の時代と、混沌としていると思われている現在の時代の話であり、実行性よりも批判に価値が置かれるヨーロッパの裏側と偽りについての話でもある。不寛容と差別、偏見、固定観念、権威、そして自由についての物語。臆病と勇気、個人と大衆、個人的な運命と集団的な運命についての物語。また生存、貧困、恐怖と険しい未来についての物語でもある。
本作は世俗的な伝統に根ざした小さなコミュニティで、グローバル化がもたらした影響について描いている。情報・モラルが混沌とした現代において、真実と自分の意見を区別することの難しさを背負うことになった。
この物語は、「政治的に正しくない」意見を特定の民族や集団に結びつけている訳ではない。意見や行動は常に個人的なものであるため、集団のアイデンティティに依存するのではなく、もっと複雑な要因に依存するのだ。社会的な意味合いを超えて、もっと根源的な人間そのものに根ざしている。信念がいかに選択を形成するか、本能、不合理な衝動、恐怖について、人間の中に埋もれた動物的な部分について、感情や行動の曖昧さとそれを完全に理解することの不可能性について、この物語は語っている。映画の中で最も好きなのは、言葉にはできない何かだ』
『ヨーロッパ新世紀』
2023年10月14日(土)よりユーロスペース他にて全国順次公開
©Mobra Films-Why Not Productions-FilmGate Films-Film I Vest-France 3 Cinema 2022
監督:脚本:クリスティアン・ムンジウ
出演:マリン・グリゴーレ、エディット・スターテ、マクリーナ・バルラデアヌ他
原題:R.M.N. 2022年/ルーマニア・フランス・ベルギー/カラー/シネスコ/127分/5.1ch
日本語字幕:関美冬 宣伝:テレザ、竹田美智留 後援:在日ルーマニア大使館
配給:活弁シネマ倶楽部/インターフィルム 映倫G区分
公式サイトhttps://rmn.lespros.co.jp